小中一貫教育と学校統廃合問題について。
高円寺地域でこの間、地域住民の方々を不安にさせているのが、杉並区教育委員会が進める小中一貫教育を隠れ蓑にした学校統廃合問題です。
山田前区長時代にトップダウンで強引に押し付けてきたものですが、山田前区長の区政投げ出し辞任で区長が変わっても未だに教育委員会は統廃合を進める姿勢を崩していないのが現状です。
このブログでも小中一貫教育のデメリットなどをあげさせもらいました。学校統廃合の研究をされていて小中一貫教育の問題点に詳しい和光大学の「山本由美さん」が沖縄県那覇市で「小中一貫教育と学校統廃合について」という講演されており、その音声がインターネットにUPされているのをたまたま見つけました。
講演後の質問も含めると、2時間40分と少々長いのですが、ぜひ多くの方に聞いてもらいたいと思いリンクを以下に貼り付けます。
音声のページが無くなってしまうかもしれませんので、講演を聞きながら記録したメモも載せておきます。
(※自分の記録用に取ったメモなので、講演内容と一字一句同じというわけではありません。聞き違いの可能性もありますので、正確な内容については講演の音声をお聞きください。誤字や内容の違いに、お気付きの際は修正いたしますのでご連絡いただければと思います。)
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◆山本由美さんの「小中一貫教育と学校統廃合について」の内容メモ
・今、学校統廃合の第3のピーク
第1は昭和30年代 昭和の市町村大合併。人口8000人に1校の中学校を作ると12~18学級になると算出された。⇒子どもにとって教育学的な根拠なし。子どもにとっていいというわけでない。行政効率性から算出された数。それが法律に残り、適正規模として独り歩きした。教育国庫負担防止条例など。
この独り歩きした「適正規模」の数字は小学校にも適用されているが、12~18学級は国際的にみて大きい。国際的にみて相当大きい。ヨーロッパは100人規模。市町村合併の際、統合した中学は国の補助費が1/3から1/2に引き上げられ、中学校の統廃合を国が推進した。第2は1970年代。統合校に対し、さらに国の補助費が増やされ統合を進める役割を果たした。
そして、今が第3のピーク。学校選択制を使った学校統廃合が進められている。
・教育学的な根拠のない適正規模の設定と、学校選択制度で統廃合を進める
2000~2007年に自治体が学校の適正規模を決める。1つの学校で12~18クラスが適正。さらに全校生徒が180~150名という最低基準を設けた。その結果、150校以上の小中学校が廃校に追い込まれた。⇒保護者の選択行動をうまく利用して、生徒数が少なくなった学校を統廃合していく。
行政は潰そうとする学校に対して、将来なくなるとの情報を流して選択させなくし、適正規模を下回り最低基準も下回ったとして学校統廃合を進める。
・小中一貫教育も学校統廃合の手段
殆どの自治体では、小中一貫も統廃合をするために使われている。統廃合で反対する親も、小中一貫だと反対が少ない。学びの連続性、エリート校を作る、きれいな校舎と行政は良いことだけを言う。
小中一貫でよくつかわれるのが切磋琢磨論、「学校が大きくないと子どもは育たない」と行政から説明されるが、まったくの俗説で教育学的な根拠が無い。子どもの成長にとって、地域はとても大きな意味を持っている。しかし、小中一貫教育などは、そこの議論はされない。
2008年から規制緩和で国庫補助で作った建物でも民間売却が簡単になっており、学校統廃合後の跡地利用しやすくなっている。小中一貫教育の推進では総じて、子どもにとってどうかとの視点が少ない。
・実は施設一体型の小中一貫教育は、全国的にみて下火の傾向
2009年頃から大きな自治体で小中一貫教育を導入するという自治体が出てきた。京都市、大阪市、横浜市(小中合わせて500校)など。
しかし、全市導入するといった自治体も小中一貫教育が既に形骸化しているところが多い。横浜市では一昨年できた最初の小中一貫校で教師の自殺者が出た。これにより横浜市の校長会が反対となり、施設一体型の小中一貫教育について横浜市教育委員会はトーンダウンした。横浜市教育委は施設一体型は考えていない、分離型で進めていく方向に。
この間、各地で小中一貫の内容に反対ではなく、小中一貫を使った統廃合に反対運動が各地で起きている。実際には小中一貫教育は、結果が検証されていなくて、全国的にトーンダウンしている。ただし、大阪の橋下が進めようとしているようだが・・・
・全国では施設一体型小中一貫校は全国で40校ほどある。
1000人を超える学校が多い。一つの校舎に沢山の生徒を詰め込む学校が出来上がっている。大人数を一つの施設に複合的にまとめていくことが行われている。
施設一体型の小中一貫校は、小学校段階からの選別、競争の導入、中学校文化の前倒し、早い段階から子どもに競争・選別を押し付けるのに役に立つ。
中学校で教える事を小学校で教える。小学校5年ぐらいから中間テストや制服の押し付け。ちなみに制服業界にとってはおいしい市場で、小中一貫全国連絡協議会には制服会社が協賛についている。
那覇市の場合、革新市政が終わって、適正配置・適正規模の設定、近接選択制の導入、小中一貫教育の導入と矢継ぎ早の教育の序列的再編が行われようとしている。選択制は地域の協同関係を壊し、統廃合を行う際、適正配置、選択性、小中一貫が使われている。
★小中の統廃合は割と阻止できる。
保護者と教職員と地域住民が共同して反対するとひっくり返ることが多い。小中学校は地方自治体行政が近いから反対運動すればやめさせられる。行政に対する働きかけをしっかりとし、入学生を確保することが大切。また、反対運動で廃校の決定を引っ張って引っ張って、首長選でひっくり返すなど。
しかし、地域と学校の関係が強い時に行政はそれを壊すように働き掛けてくる。また、ちょっと弱くなってくると狙われる事が有る。
・那覇市の現状
那覇市教育委員会の適正規模は小学校12~24学級、中学校12~24学級、望ましい児童生徒数360~840人。生徒数360~840人は珍しい。適正規模が大きすぎ。望ましい児童生徒数なんて普通書かない。
適正規模を1クラスでも下回ったら統廃合も珍しい。12~24学級に教育学的な根拠が有るんですか?と行政に聞くとどう応えるのだろうか。
那覇市の審議会の答申はでは「これらの提言はアンケートの結果、学校規模の視察、学級編成の制度的な仕組み、文科省の学級編成の一層の弾力化、他の先進的な国々の状況等も参照しつつ検討した結果」と書かれているが、那覇市の場合、根拠がないから色々集めて書いてる。だいたい、教育先進国のヨーロッパは小学校が小さい。
・小中一貫は教員が大変
小中一貫で教員の乗り入れが出来るとメリットとして言われるが、カリキュラムの組み合わせが大変になって、教員に負担が大きい。小学校では担任の先生がいつも一緒にいて、集団を大事にしているが、教科ごとに先生が変わると子どもが非常に不安定になる。教科担任制は小学校の子どもにとってデメリット。
・運動会合同は大変危険。
品川区の小中一貫校伊藤学園の運動会は、徒競争が無く、集団競技だけ、練習もほぼ出来なく適当な運動会。保護者も校舎2階で見学。品川区も今年から一校を除いて、4-3-2制となっているが、1~4年生と3~9年生(小学5,6年と中学1~3年生)を別々の運動会にしている。行事は小中別々でやることが望ましい。
・なぜ、小中一貫教育が出てきたかというと・・・
新自由主義教育改革は「国家が決定した教育内容に関わるスタンダードの達成率に基づく学校間の自治体間の競争の国家による組織を内容とし、エリートと非エリートの早期選別を目的にした徹底した国家統制の仕組み。」である。学力テストをやって、その達成率で学校や自治体を競わせて早くから公立学校を選別しようとしている。
6-3制は誰にでも平等な教育を提供することが目的だったが、早くから、出来ない子を諦めさせる。エリートコースには多くのお金を与える。アメリカ・イギリスがやっていた事の後追い。少数のエリートを作って経済競争に勝ってもらう人を作る。みんなに平等の教育を提供するものではない。
当初、学校選択制で学校を減らしていこうとしていたが、なかなか広がっていかなかった。2008年から文科省は小中一貫での学校統廃合を進めるようになった。
・小中一貫の拡大の経過
1999年、広島県呉市で3小、1中の統廃合が出てきた。呉市はヨットハーバーなど作って財政破綻していたので、小学校の跡地を打ってお金を作りたかった。当時は小中を一緒にする方法がなかった。広島大学の発達心理学の先生たちに4-3-2のカリキュラムを作らせた。
この計画で初めて中一ギャップとい言葉が出てくる。小学校から中学校へ進学する際、不安感を持っている子どもが多くて、中学校に入るといじめや不登校が増える。その不安感を無くして小中の接続をスムーズに行かせれば子どもにとってはいいんじゃないか、との話。また、9歳10歳に発達段階の境目が有り、その境目に4-3-2制の区切りを合わせるのがいいのではないかとの議論を広島大学の先生が作った。
品川区では学校選択制の後に小規模校が出来たが、教育長が「選択制を導入しても統廃合をしない」との言質を取られていたため、統廃合したくてもできなかった。しかし、小中一貫にすれば統廃合が実質出来ると飛びついた。
その後、教育特区を使って、品川区、京都市、奈良市などが小中一貫教育特区を取得して全国拡大していく。さらに全国連絡会を作って、各自治体の教育委員会をよんで小中一貫教育サミットを行いノウハウを伝える。
東京で行われた小中一貫教育委員会サミットでは「小中一貫の何がよいのかわからないがこれで統廃合が出来ると」参加した教育委たいちがこそこそ話しているのを品川の区議が聞いたらしい。。。。
・小中一貫教育には新しい科目がつくられる。
小中一貫が広がるのと同時期に、経団連が出した奥田ビジョン、小学校でキャリア教育、起業家精神の教育を行うといったものが小中一貫に導入された
品川の小中一貫校の教師にどんな学校かと聞いたら「タイタニックみたいな学校です」とのこと。いまにも沈みそうという意味か・・・。その学校は新しいカリキュラムを作ったが、教材研究がまったく行われていないようだ。教員が忙しすぎるのではないか。
小中一貫教育は教育的効果が検証されていない。杉並区でも教育長が「検証されていない」と発言。しかし、親からの不満は学校行事について。カリキュラムについては親にはよく見えてこない。
・三鷹市の事例
三鷹市の小中一貫教育は分離型。コミュニティースクール委員会で先生たちが小中を行ったり来たりする体制。三鷹氏は保護者の反対運動で施設一体型は初期の内に止められた。
小中の教師の相互乗り入れ⇒教員の負担が非常に多い。あいた穴は後補充の非常勤教員で子どもとの関係もないので、学校を離れた時に子どもが荒れてしまう。三鷹で3校ぐらいで荒れ始めたのは教員が離れた事が原因ではないかとのアンケート結果が出ている。
・三鷹市の小中一貫教育についての教員に対するアンケート
◇悪かった点
1位 教師の多忙化。移動と打合せのため。
2位 忙しさが子どもにしわ寄せが
3位 行政のトップダウン
◇良かった点
小中の交流が深まった(ごく少数の回答)
三鷹市では殆どの教員が小中一貫に否定的。現場の教師が破たんさせないよう懸命の努力をしている。
・新潟県三条市
一番反対運動が盛り上がったところ。1中3小、1500人規模の全国最大規模の一貫校。総務省からの出向組が進めている。地域の産業関係の工場の社長たちが反対に回って全国的に見ても大規模反対運動が起きた。最後は進められたが。
・小中一貫は心理学的、教育学的に検証されていない。
小中一貫を進める際、中学校で不登校・いじめが減る、しかも発達早期化しているから、4-3-2制がよい、と行政は言うが、その検証は行われていない。
・小中学校の23区の不登校率の変化。(教育委員会発表)
2000年前後が不登校がピーク
◇小学校の不登校が増えているのは
新宿、品川、台東、杉並の順
◇中学校の不登校が増えているのは
新宿、澁谷、杉並、足立
品川、新宿、杉並がワースト。小学校の不登校率が上がっているのはカリキュラムの前倒しと無関係ではないのでは。小学校で不登校が増えている地域は、統廃合が行われたところや、選択制で子どもたちが大きく移動しているところが多い。
・新宿区の事例
小学校では選択制で過密になったところで不登校が増えている。中学校では統廃合直後で不登校が増える。統合校の中で統合前の学校間抗争が起きている。
これを見ても、中一ギャップの解消が検証されていない。
・学校間移行を研究されている発達心理学のツヅキ先生
大量アンケート調査などで多くのデータに基づいた実証研究をされている発達心理学のツヅキ先生は「小学校時代に中学校に対して不安と期待の両面感情をもつ子どもが中学入学後にとてもうまく行く」と言われている。
次に伸びるのが「不安はないけど期待はある」で、「不安も期待も無い」というのは一番ダメ。
不安というのは、発達にとっては大きな意味を持っている。中学入学前の不安というのはネガティブではなく、新しい中学校という環境で行動を動機づける働きを担う。小中一貫の中一ギャップの解消という理由づけは、そんなに意味が無い。むしろジャンプすることが子どもの成長発達に大きな意味を持っている。
さらに、小中が同じ校舎になると小5,6の時期が奪われてしまう。小学校のリーダーとして一番伸びる次期、様々な行事で低学年を引っ張っていく経験が奪われる。一番伸びる有能感(何でも自分はできる、頑張ればできる)を小学校で育てていくことが、中学校で様々壁にぶつかっても、乗り切れる自力になる。一貫校では、それが形成されないので中学で伸びなくなってしまう。
教員のアンケートでは中学でリセットできる生徒、小では目立たなかった生徒も中で部活や委員会などでリセットして頑張る層が、それが出来なくてダラダラ行ってしまう。それで高校でギャップが出てしまう。
・田中孝彦さん曰く
著書「地域が子どもを守る・東京東久留米の学校統廃合を考える」で学校統廃合すると子どもにどれほどダメージが有るか調べた。
臨床教育学の田中孝彦さん(子どもの心の問題について膨大なインタビューで分析)とともに東久留米市の小規模校(80名ぐらい)は他の2校に分割で吸収され廃校となった。その学校を調査した。
「統合後、子どもたちが広い意味で心的外傷の状態になるような不登校や荒れの状態」になっている。小規模校は教育的効果が薄いからと行政が宣伝して、指定校変更を自由にした。親の分断、親と教職員の分断が作られてしまった。
学校名も変えずに強引に統廃合を行ったところ、統合直後から、低学年から渋り(登校を渋る)、高学年はいじめ、不登校、学級崩壊、行事が成り立たなくなる。親が学芸会をみてあまりのひどさに泣いてた。
◇学校統廃合で子どもたちが荒れる大きな理由
1.事前の教育内容のすり合わせが無い。
公立学校では文化も伝統も行事もやっていることも違う。あるが校ではだしで過ごしていたが、すぐ出来るものではなく、時間をかけ多文化。統合した後で、子どもは割と小さな事で混乱する。教育活動、教育内容、教育方法の細かい違いに戸惑い混乱した子どもたちの姿が有った。
2.教職員が統合先の片方の学校についていかなかった。
子ども達は細かい違いで混乱しても、相談できる親密な関係の大人がいなかった。その中で、孤立感、無力感の中で早い段階(5月から)で荒れてきて、心的外傷状態になってきたのではないか。中学に行っても荒れた学校になって、一度損なわれた集団に対する信頼や、大人に対する信頼が回復されなかった。
学校統廃合が原因ではと親が校長に言っても、一切認めず、全校的な対応を行わなかった。校長は、個々の家庭や子どもや、教師の指導力不足で統廃合の問題ではないと、子どもたちが大変な状況に置かれ続けた。
田中先生曰く、「子ども達にとっての原風景の重要性、小さい子ども達にとっては地域や学校などは原風景であって、子どもの安定した成長発達にとっては非常に大事なもの。」地域から引き抜かれ、新しい所にボンと入れられることが非常にダメージが大きかったのでは。
しかし、一学年だけ荒れなかった学年が有った。子どもに対するアンケート調査など、この学年だけは本音(良いことも悪いことも)がアンケートで言えてた。
★荒れが無かった学年は、保護者が共同で反対運動をした学年だった。
親が反対運動を行った事で子どもに本音で接することができ、子どもに寄り添うことができたから、子どもたちが統廃合を乗り越えられ他のでは。
他の学年では、統廃合について子ども達に心配掛けたくないから「学校がきれいになる」とか「友達がたくさんできる」などの話しかできず、統廃合で混乱して不安を抱えていろんな気持ちが渦巻いている子ども達の気持ちを親に受け止めてもらえない状況になっていたのでは。
・子どもだけでは乗り越えられない。学校統合にはリスクが有る。ダメージが有る。
台東区・荒川区などは昔から統廃合を進めている自治体は、絶対に対等平等な統廃合にしなければいけないということで、両校を廃校にしてから進めるとか、校名も校舎も校歌も全部新しくして一から進めなければならないといった手法がとられている。
統廃合が、子ども達にどういう意味を持っていくのか、地域で恨みの感情を残していくことがどういう意味をもつのか、それを考えていかなければならない。
◆教育内在的批判に弱い新自由主義教育改革
しかし、小中一貫は結果が検証されていないので、きちんと行政にどういう意味でやるのか、教育的効果を見越して行うのかを確認して行くことで止められる。新宿区でも不登校が増えたといったデータを示して、統廃合を止めたところが有る。
首長のトップダウンや、中央でやっているからやるといったた外在的な議論だけで、行政の人も本気でやりたいと思っていない場合が多いので、わりと批判に弱い傾向が有る。
こんなに良くないんだという事を、きちんと追及していけば、新自由主義教育改革はもろい部分が出てくる。ぜひ、運動を頑張って言っていただきたいと思います。ありがとうございました。
~質疑応答~
Q: 両校の親同士のわだかまりを行政はどうするのか?
A: 統合協議会はこれからですよね。保護者間の対立は?<まだ、ない> 対象の学校は学校規模が近いので、それほど酷くならないと思うが、行政は統廃合でのデメリットを言わずに、いいことしか言わない。受け入れる側の方は安易に考えてしまう。ただ、いままだ行政側からの切り崩しは少ないようなので、条件は良い。
廃校条例がまだ通っていないので、手続き的にはまだ時間が有るし、条例が通った後でもひっくり返ったところもある。無力感にとらわれずに、決まったといわれても諦めずに、もう駄目だと思わずに。学校教育について学習をしていって、現状でもこんな問題を抱えているのに、統廃合で悪くなってしまうとか、具体的に行政に問題解消、リスク回避の方策を問い詰めていく事が重要。
両方のPTAが勉強しだすと結構変わってくる。
Q: 今日は1000ぐらい集まってほしかったが、少なくて不安を感じた。関心を高めるための工夫についてのアドバイスを。
A: 小中一貫の問題点はわかりづらくて切実感が出てこない。保護者も学校が無くなると切羽詰まってこないと参加しづらい。実はこんなに良くないことが有る、悪いことが有ると情報提供していくこと。小中一貫は子どもにとってすごく良いとの行政の宣伝が徹底されているので。
運動を進めると止められるという経験がみなさん無いのですが、小中学校の統廃合は止められるんだと伝える事。子どもにとってどんな問題が有るかを知らない人に知ってもらう。急に共同しようとしても出来るものでもないが、今、子ども達にとって何が問題で、どうすればいいのかという具体的な問題の共有が必要では。
Q: 小中一貫での4-3-2制とは、どんな問題が有るのか?
A: 小中一貫っていろんなタイプが有ってもいいのに、メインは4-3-2制だけ。呉市では、目的が統廃合で小中をくっつけるための何らかの理由付けが必要で、カリキュラムから小と中を一緒にするというもので4-3-2制が作られた。そして、これが全国的に使われた。
4-3-2制になると学年の呼び方が1年生から9年生と言っている。5、6、7年生がひとくくりで、そこにポイントを置いているが、実はこの分類に5、6年生は合わない。中2、3は発達段階がも違う。
品川区では小6のカリキュラムを小4までに終わらせるなど。習熟度別の授業を5年生までにおろしてくる。4-3-2制というが、実質4-5制になる。小6まで学級担任制だが、小5,6で学級担任制が無くなると子どもたちが混乱する。
小6までは学級集団を大切にして担任が教えていくのが発達段階にあっているといわれている。小中一貫のカリキュラムにすると授業時数が一般的に増える。新教科が入る品川なら市民科など。また、小一からの英語の前倒しも行われる。
Q: 1小1中の小中一貫は少なく、4小1中などの大規模な統廃合になるのでは?
A: 学区編成も将来的に考えているのでは。1中2小のくくりを作って、そこにはみ出した学校を統廃合したところもある。将来的に余っている小学校をまとめる口実になる。
学校を守るというのは校門を閉めれば安全というものではなく、学校の周りの関係性、ソフトの部分が大切でそれを壊すとうまく行かない。培ってきたもが大切なのでそれを簡単に壊してはいけない。
Q: 横浜の施設一体型一貫校の問題点についてあらためて
A: 複数の学校をまとめる最初の一校で、市の指導主事が校長に入ってきた。自殺されたのは新採用の体育の先生。小中一貫教育ではカリキュラムのすり合わせがとても大変。横浜版小中一貫学習指導要領が作られているが、教員の負担が酷く次の施設一体型の小中一貫校のめどが立っていない。
現場の教職員も負担が大きすぎて、施設一体型の一貫校に対するモチベーションが無いのが実態では。
Q: 東京の学校統廃合が多いのは?
A: 東京はドーナッツ化現象を理由に70年代後半から80年代がピークで千代田、台東、荒川で行われた。
今は東京で人口回帰現象が起きている。郊外から中心に入ってきて都内は児童数が増加している。23区で児童生徒数が7,8年間が減っているのは二つしかない。
学校統廃合が行われず、学童や保育園が残っているところにファミリー世代が戻ってくる。台東区など統廃合しすぎているところには戻ってきていないが、となりの文京区に戻ってきている。
子育てインフラが有れば人口は戻ってくる。保育園、学童、小学校が残っているところに戻ってくる。潰してしまったら戻ってこない。
行政は人口回帰現象が起きるとは思っていなかった。新自由主義改革は職場と住居が近い。再開発で工場街にマンションがどんどん建っている。にもかかわらず東京で統廃合が多いのは2000年から選択制が導入されて小さな学校が潰された結果。
Q: 選択制について
A: 小学校などを潰す際に、選択制が有ると最後のひと押しが簡単にできる。行政が将来廃校になると言うと、保護者が他校を選んでくれて、行政が統廃合大変な思いをしなくてよ。
最後のひとけたになった時に、学校が無くなるからとなりを選んだほうがいいですよと言って、入学者をゼロに出来る。一年生がゼロになったら学校を存続させる気力を失う。
Q: 那覇市議会議員の比嘉さん。市議会の報告を。那覇市は小中一貫教育の何がいいのか教育学的検証がされているのかという問に応える事が出来ていない。ヒロシマの呉市の報告では良いようだといった答え。呉市では13もの学校が統廃合になっている。通学区域の変更についてどうなるのかとの問いに、地域住民の意見要望で見直しをすることがあり得る。
差別化になるのではないかとの質問には、全国学力学習調査などのテストの結果を中学校区単位で今後把握していきたいとの答弁。教育委員会のなかでは小中一貫教育に予算どれくらいかかるんだと1億4千万との議事録あり。
分離型の場合の教師の多忙化。小学校56年生からの教科担任制の導入を言っている。マスコミでも評価するような報道。
A: 生活指導の先生が調査された教科担任制の前倒し導入についての影響調査が有る。教科担任制を小5から早期導入すると小5、小6の担任の先生がいつも近くにいない状況になる。小学校の学級担任制は長い歴史が有りそれなりの意味が有る。
何かあった時にいつも担任の先生が教室にいて、ベースとして集団的な活動をするのが基本。たまに専科の先生が入るのはまだいいのだが、何かあった時にすぐに担任にコミットして担任が応えていくという集団を基礎とした学級活動がうまく行かなくなる。
国語が専門の先生が担任だとまだ会う機会が多いが、授業数が少ない教科の先生が担任になると、朝と昼と帰宅前しか担任に会えなくなる。教科の知識だけでなく子どもの生活面や家庭の問題の把握、悩みなどトータルがわからないと小学校の教諭は難しい。
担任が教室にいる時間が極端にすくなる危険性が教科担任制の前倒しの問題点として一番大きいものでは。「奪われる小5小6の大事な時期」として指摘された。
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学校統廃合の問題点知るうえで参考になりました。