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【議事録】富田たくの代表質問 2022年9月14日 杉並区議会第3回定例会 本会議

議事録

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質疑内容 : 岸本聡子区長の所信表明に対する代表質問
質問者 : 日本共産党杉並区議団・幹事長 富田たく

2022年9月14日に行われた杉並区議会・本会議で僕が行った代表質問の議事録をアップします。(議事録については時系列で管理を行うため、このエントリーの更新日は質問当日の日付にしております。更新日2023年2月7日)
※この議事録は富田たくの質疑を抜粋したものです。当日の全議事録はコチラから。
※動画での視聴はコチラから。
~~~~~~議事録抜粋開始~~~~~~
令和4年第3回杉並区議会定例会議事日程第3号 令和4年9月14日 午前10時開議
第1 代表質問
○議長(脇坂たつや議員)
これより本日の会議を開きます。会議録署名議員を御指名いたします。24番山本あけみ議員、48番井口かづ子議員、以上2名の方にお願いいたします。
日程第1、区長の所信表明に対する各会派の代表質問に入ります。日本共産党杉並区議団代表、33番富田たく議員。
〔33番(富田たく議員)登壇〕
◆33番(富田たく議員)
おはようございます。新たに就任した岸本聡子区長の所信表明を受け、今後の区政運営の基本姿勢や直面する喫緊の課題について、日本共産党を代表して質問いたします。
最初に、区長選挙の受け止めについてお聞きしたいと思います。
区長選挙は、主権者である区民が区長を直接選ぶという直接民主主義の選挙です。それだけに私たち区議会議員も、区長選挙で示された区民の思い、民意をどう受け止め、区政をどのように進めていくのかが問われていると思います。
私は、選挙によって前区長にノーの審判が下されたことをまず重く受け止めるべきだと思います。前区長の3期12年を全て否定するものではありませんが、区民はこの12年間を通じて、住民の声を真摯に受け止めず、トップダウンによる強引な区政運営や、区政の私物化といった前区政の姿勢に強い懸念を感じたのではないでしょうか。
それに対し、岸本区長の選挙での主張は、今までの区政運営からの転換を明確に打ち出していました。何より強調されたのが対話から始まること、そして情報を隠さず公開し、住民合意の下で命と暮らしを支える区政運営を進めることでした。岸本さんは杉並に多くの知人がいるわけでもなく、事実上無名の新人であり、立候補表明は告示日まで2か月を切っていました。その岸本さんを区民が選んだのは、その主張に共鳴し、希望を感じたからではないでしょうか。この区民の思いを私たちは謙虚に受け止めるべきだと思います。
岸本区長自身、区長選挙で示された区民の民意、区政への願いをどのように受け止めているのか、伺います。
私たち日本共産党杉並区議団は、区民の皆さんと力を合わせ、区長選挙で示された民意に応えた区政改革を進め、杉並から住民自治の新たな扉を切り開くために全力を尽くす決意であります。
さて、区長選挙後、岸本区長は公用車を使わず自転車で初登庁されたことが話題となりました。我が党区議団は、前区長が、毎晩のように夜の会合に公用車を使用し新宿に通っていた実態や、到底公務とは言えない他自治体の選挙応援への使用など、区長公用車の私物化、乱用の実態を議会で告発し、改善を求めてきました。前区政下でも区長公用車の運用基準はつくられたものの、依然として問題のある運用だったと考えております。既に区長就任後、公用車の運用方法については変更されたと聞いていますが、所信表明では言及されていませんでしたので、改めてお聞きします。
前区政での公用車運用については、区民から厳しい目が向けられていましたが、岸本区長はそれをどう受け止め、どう生かして取り組んでいくのでしょうか、伺います。
区長が所信表明で「隠し事のない透明な区政」、日本一の情報公開を掲げたことを歓迎するものです。前区政での情報公開の実態は隠し事だらけでした。情報非公開条項を使って、明らかにしたくないと思われる情報は、ことごとく黒塗りにする決定が多発されてきました。それがいかに不適切だったかは、同僚議員の提訴によって下された東京地裁判決でも浮き彫りになっています。法人等の利益を損なうおそれなどの理由による非開示という決定は、一般的、抽象的理由ではなく、その蓋然性を明確にすることが求められていることが自治体向けのハンドブックでも明記されています。
また、開示期間の異常な延期も問題です。我が党議員の開示請求で開示された文書は僅か61ページでしたが、開示されたのは請求から70日も経過した後でした。本来、14日以内の開示が原則ですから、あまりにも異常と言わざるを得ません。
区長はどのように日本一の情報公開を実現しようとするのでしょうか、その基本姿勢を伺います。
情報公開請求については原則公開、開示は14日以内の原則を徹底していただきたいと思います。そのために、前区長決裁で行われてきた情報公開の不適切な非公開や、異常な開示期間の延長の実態を精査するとともに、今後、非開示規定や延長可能規定の乱用が行われないよう、情報公開条例及び区が作成している事務手引にのっとった運用を職員に徹底することを求めますが、いかがでしょうか。
また、非開示や期間延長の判断が恣意的なものとならないよう、条例や手引の運用にのっとっているかチェックする仕組みの構築など、その検討も必要だと思いますが、区長の見解はいかがでしょうか。
岸本区長が対話、区民の声を聞くことを打ち出したことも区民の願いに沿ったものだと思います。前区政でも区民の声を聞く仕組み、制度は一応ありました。しかし、その運用においても、区民の声や要望を受け止め、区政にどう生かされてきたのか、極めて疑問です。
その典型的な例がパブリックコメントです。例えば実行計画等に対するパブリックコメントでは、児童館廃止に対し、保護者等から、児童館が廃止され、小学校内での放課後居場所事業に移された子供たちがどうなったのか、生々しい事例が紹介されています。ゆうゆう館の廃止に対しても、利用者である高齢者から生きがいを奪わないでほしいなどの切実な声が多数寄せられていました。しかし、前区政では、こうした区民の切実な声に対し、従来どおりの見解をただただ繰り返すだけでした。これではパブリックコメントの意味がないと指摘せざるを得ません。
区長として、これまでの区民意見への区の対応の実態を調査し、区が全体として主権者区民の意見を尊重し、区政に生かすことを徹底するよう要請いたしますが、区長の見解を伺います。
区民の声を区政に生かすという意味では、岸本区長が予算編成について、区民参加を促進するために区民参加型予算を提案したことは、区政改革への新たな一歩だと思います。あわせて、改革すべきことは、予算編成する過程を公開することだと思います。多くの自治体でも積極的に取り組まれており、杉並区でも一応実施されていますが、予算確定前に僅か1回のみの公開で、公開されていること自体も区民に周知されていない実態があります。予算編成過程の公開を複数回にし、広報などでも分かりやすく紹介するよう改善が必要です。また、編成過程を公開するだけでなく、予算編成の際に区民が意見を言える仕組みも必要だと考えますが、いかがでしょうか。
次に、民営化、民間委託についてお聞きします。
岸本区長は、国際政策シンクタンク職員として、世界各国の水道事業の民営化問題を研究し、水道利用者への悪影響から再公営化を進める活動をされておりました。日本での公共施策の民営化は、新自由主義経済を求める財界の主導の下、新たな市場の拡大による企業利益の確保を目的に進められ、杉並区でも民間活力の導入との掛け声で、結果的には人件費の削減が目的として進められています。しかし、民間委託、民営化については、区民サービスの低下や、企業の急な撤退による事業の継続性の問題、区職員の業務継続能力の低下や企業利益確保を優先とした人件費削減による官製ワーキングプアの増加など、多くの問題点が指摘されています。
そうした中で、区長が所信表明で、指定管理を導入したサービスを中心に検証に向けた準備を進めていることを表明したことは重要です。ただし、指定管理者制度だけでなく、放課後居場所事業や学童クラブ、国保年金課等の窓口業務の民間委託などについても検証が必要と考えます。指定管理、民間委託、民営化、それぞれについて全庁的に検証を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、検証の際は経費削減などの財政的な視点だけでなく、区職員の業務継続能力の維持や、区民サービスの向上、低下、個人情報の取扱いについてなど、多面的な検証を求めますが、いかがでしょうか。
次に、今回の杉並区長選挙において重大な争点となった、児童館やゆうゆう館の廃止方針、都市計画道路の整備について、何点か確認したいと思います。
まず、児童館とゆうゆう館の再編整備についてです。
岸本区長は、「杉並区の強味は、長年培ってきた小学校区を中心とする地域社会」であるとともに、「地域における子どものための拠点である児童館」、「高齢者の活動の拠点であるゆうゆう館」があることだと述べました。非常に重要な指摘だと思います。しかし、前区政では、施設再編整備の名の下に、児童館やゆうゆう館が廃止されてきました。児童館は、41館あったものが14館廃止され27館に減少、前区政下で示された計画が今後も進められれば、さらに6館が廃止され、21館にまで減少することになります。ゆうゆう館についても、32館あったものが、既に4館廃止され28館に減少、今後7館の廃止方針が進められれば21館に減少してしまいます。
子供たちや保護者、高齢者からは、施設の存続を求める声が高まる中、岸本区長が「これまでの取組をしっかり検証した上で今後の進め方について検討したい」と表明したことは非常に重要だと受け止めています。
まず、区立施設再編整備計画の検証と見直しに向けた具体的な手法について、現在の検討状況を伺います。
また、児童館やゆうゆう館の検証や見直し、各施設の今後について、有識者と関係者、現場職員等を含めた在り方検討会等を設置して、検証を行うべきと考えますが、認識を伺います。
検証と見直しに当たっては、計画を決定する前の段階から住民への情報提供と住民意見の反映、住民参画の下で進める必要があると考えますが、区長の認識を伺います。
その際、既に決定された計画についても、柔軟に住民の意見を聴取していくべきと考えますが、認識を伺います。
直近で廃止となった西荻北児童館、善福寺児童館は、当初の再編整備計画にも示されず、突然廃止が決定されました。計画見直しを求める声は住民説明会でも相次ぎ、議会には陳情署名851筆が寄せられました。該当する小学校や近隣小学校のPTA、学童クラブ父母会からも計画の見直しを求める要望書が寄せられました。児童館最後のお餅つきでは、長年餅つきを担ってきた町会関係者は涙で声を詰まらせ、ある参加者は、杉並区の愚策によって地域のつながりを断たれないようにする旨の発言がありました。こうした声や実態を踏まえずに児童館が廃止されたことは、極めて問題であったと指摘するものです。
児童館は、これまで地域住民と子供をつなぐ事務局機能の役割を果たしてきました。各小学校区に配置されてきたからこそ、子供たちを中心とした地域コミュニティーが形成されています。こうした地域コミュニティーの核として、児童館の役割について、今後、再検証していただきたいと考えますが、認識を伺います。
児童館は子供たちの日常生活の拠点となっており、家とも学校とも異なる場所に子供たちの拠点があることに大きな意味があります。児童館を廃止するということは、学校内でも自宅でもない第3の居場所、サードプレースがなくなることを意味します。さらに、子供たちは児童館という子供たちのための施設で、大人が用意したプログラムだけに縛られることなく、自らの意思に基づき自由に遊ぶことができました。
一方、学校内での放課後等居場所事業は、学校内のルールや学校施設の利用上の制約、職員の引率により場所移動をするため自由な出入りができない、遊びについても職員が幾つかの種類を提案した中から選ぶ、それ以外の遊びをすることや遊ぶスペースを変えることができないなど、子供たちの自由意思に基づいた遊びが制約されてしまいます。これらの制約は、子どもの権利条約第31条で示されている休息、余暇の権利、遊び、レクリエーションの権利、文化的生活、芸術への参加の権利とも相入れないことではないでしょうか。
今回、岸本区長の下で、児童館再編の検証とともに児童の権利条例の制定が示されましたが、この機会に、子どもの権利条約と照らして児童館が果たしてきた役割の検証及び児童館を利用する子供たちに対する意見聴取を実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
学童クラブの在り方についても伺います。
この間、学童クラブの需要増に対応するため、定員増が進められてきました。その際、1つの学童クラブで100人、150人と大規模化している実態があります。緊急的な対応としてやむを得ない面もありますが、本来の児童の過ごし方や、指導員の負担を考えると大規模化は問題があります。今後の学童クラブの集団単位は40名程度を目指し、改善に取り組むことを求めますが、認識を伺います。
続いて、ゆうゆう館についてです。
ゆうゆう館が廃止された地域では、コミュニティふらっとに機能が移転されていますが、高齢者からは不便になったなどの声が上がっています。ゆうゆう浜田山館を利用していた高齢者団体は、廃止後にゆうゆう高井戸東館に移動し、これまでどおり、月1回の会合を継続していますが、遠くて大変との声が寄せられました。同じく、ゆうゆう浜田山館で体操を行っていたグループは、ゆうゆう高井戸東館が狭いため、遠くのコミュニティふらっと成田まで移動しているそうです。今後もゆうゆう館が廃止され、コミュニティふらっとへの転用が進めば、高齢者の活動場所が遠のき、容易に利用することが困難な事態を生み出すことは明らかではないでしょうか。
高齢者の身近にゆうゆう館を配置してほしいという声は、区立施設再編整備計画第2期第1次実施プランへのパブリックコメントにおいても多数寄せられました。徒歩で通える場所に、高齢者のための拠点を配置することの重要性について、高齢者の意見を聴取し、検証することを求めますが、区長の認識を伺います。
ゆうゆう館では、利用団体が使用する体操用マットや楽器、健康麻雀グループの麻雀セットなどなど物品を保管することができていました。しかし、コミュニティふらっとでは個人の持ち物は置かないことがルールとなっています。理由について、多世代も使うから高齢者団体の物品は管理できないと説明していますが、高齢者団体から改善を求める声が多数寄せられています。高齢者の要望を聴取し、柔軟に対応すべきではないでしょうか。この点についても区長の認識を伺います。
ゆうゆう館は、高齢者向けの会館であり、高齢者の生きがい創出の場として重要な機能を果たしてまいりましたが、ゆうゆう館の減少とコミュニティふらっとへの機能移転により、高齢者向けの講座等、協働事業が減少することを懸念します。施設再編の検証と見直しに当たり、高齢者の拠点や講座等の協働事業が担保されているのか、利用する高齢者も含めた意見聴取を実施するべきと考えますが、区長の認識を伺います。
次に、都市計画道路について伺います。
前区政の下、都市計画道路整備事業は、近隣住民との合意形成なく進められてきました。計画の多くは70数年前に決定されたもので、現在では住宅街や商店街が立ち並び、計画が決定された当時とは状況が全く違っています。住民に立ち退きを迫り、暮らしや営業、地域のコミュニティーを壊す道路計画に、理解や納得が得られないのは当然のことだと思います。
膨大な税金が投入される点でも重大です。補助132号線では250億円以上、補助221号線では50億円以上などなど、コロナ禍や物価高騰の下で、税金の使途を検証する必要があります。
7月16日、杉並区都市計画審議会が開催され、都市計画マスタープラン骨子案が示されました。その内容は、前区政下で立案されたもので、都市計画道路整備や駅前再開発を推進する内容でした。
岸本区長は、自ら審議会に参加し、ゼロカーボンを骨子案の柱に位置づける必要性を強調し、審議会委員にもその観点を踏まえての議論を求め、その方針に基づき、骨子案の修正や説明会などの策定スケジュールの変更が行われることになりました。骨子案の変更が打ち出されたことは、地球温暖化対策への積極的な挑戦であるとともに、住民合意なく進められる都市計画道路整備の見直しを求める住民の切実な願いに沿うものと考えます。
都市計画マスタープラン骨子案の修正については、ゼロカーボンを実現すべく、従来の取組にとどまらず、地球温暖化対策に杉並区が本気で取り組む方向性を打ち出す必要性があると考えますが、改めて区長の決意を伺います。
また、都市計画の中心にゼロカーボンを位置づけるのであれば、これまで計画されてきた都市計画道路については、完成後の車両交通によるCO2排出量や、道路開発時におけるCO2排出量等の観点から精査することが求められます。こうしたCO2排出量の調査、見積りについて、必要に応じて実施していくべきと考えますが、区長の認識をお聞かせください。
全国の自治体で、都市計画マスタープランにおける都市計画道路の見直し方針が示されています。東京における都市計画道路の整備方針第四次事業化計画が示された2016年度時点でも、全国で2,356路線が廃止されていました。それらの事例も検証し、骨子案に反映することを求めますが、認識を伺います。
岸本区長は、都市計画審議会において、道路整備による防災対策の課題についても言及しました。延焼遮断帯の効果については、NPO法人くらしの安全安心サポーター理事長の中村八郎氏は、焼失面積が3.3ヘクタール以上となる市街地延焼火災、いわゆる大火の場合、飛び火により100メートルから300メートルは燃え移り、20メートル幅の都市計画道路はほとんど効果がなく、道路の幅を広くすることは延焼遮断帯に役立たないということはないが、膨大な予算をかけ、居住する住民を立ち退かせてまで整備する必要性があるのかは疑問があると、その効果を指摘しています。
東京都における都市計画道路整備では延焼遮断帯の形成や防災対策を理由とした整備が行われていますが、中央防災会議の首都直下地震の被害想定と対策では、震災予防は建物の耐震化、不燃化や家具等の転倒防止、感震ブレーカー等の設置による出火防止対策や初期消火成功率の向上等に重点を置いています。その点からも、本来の首都直下地震への対策は、延焼遮断のための道路整備が中心課題ではありません。都市計画道路の整備による防災効果の検証とともに、道路整備に頼らない建物の耐震化、不燃化等の防災対策を推進する必要性があると考えますが、区長の認識を伺います。
あわせて、全国の自治体、特に観光地や下町等を中心に、既存の町並みを維持した防災まちづくりの検討が始まっています。そうした事例研究も進め、市街地を維持した防災の検討を求めますが、認識を伺います。
既に事業認可された都市計画道路用地については、一部用地買収され、事業用地となり、長期間、空地となります。既に補助132号線事業用地においても、一部用地は空地となっております。これらの空地は地域の美観を損ね、町並みが寂れた印象を受けると地域住民からも意見が出されています。地域のまちづくりに関わる団体からも、事業用地を空地のままにすることなく、ポケットパークやベンチを設置するなど有効活用する要望も出されており、地域住民と共に有効活用等を検討するべきと考えますが、認識を伺います。
前区政の大きなゆがみに、区長のトップダウンの施策については優先しながら、自治体として大切な区民生活に直結した施策をないがしろにしてきたことがあります。学校トイレの洋式化促進は、防災対策としても緊急課題であるにもかかわらず、力を入れず、23区での整備率の順位は年々後退し、昨年は22位となりました。区立集会施設の廃止を続け、人口当たりの施設面積は22位です。家賃助成や高齢者の補聴器助成も多数の区が実施に踏み出したにもかかわらず、前区長は背を向け、高齢者向け日常生活支援サービスの福祉用具給付の今年度当初予算額は、僅か107万円しか計上しませんでした。
区長選挙で示された区民の思いは、こうした前区政の異常なゆがみを正し、区民の暮らしへの支援にこそ力を入れてほしいということではないでしょうか。23区でも異常な遅れを是正し、命と暮らしを最優先する区政へと進めることを求めるものですが、いかがでしょうか。
施設使用料について、「『区民が気軽にいつでも使える』という原則に立ち、使用料の検討を行いたい」との考えは重要です。前区政12年間では、未利用者との公平性との掛け声で、使用料が大幅に値上げとなりました。そもそも区立施設は民間企業が行っているレンタル会議室やレンタルスペースとは違い、様々な団体、個人の活動による社会教育の推進、文化芸術の振興、健康増進など、区民福祉増進のためにつくられており、税金で維持すべき施設の人件費を含めた経費まで利用者負担としていることは問題ではないでしょうか。
改めて施設使用料の在り方を検討する際は、区民福祉増進の観点を大前提として、利用しやすい金額へと引き下げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、前区政下において登録団体半額制度が廃止され、少なくない団体の活動に影響が出ています。改めて登録団体半額制度の復活を検討すべきと考えますが、区長の見解はいかがでしょうか。
前区政下では、コロナで区民の生活や事業者の経営が大変な時期に、財政調整基金の積立てを強行し、昨年度末は杉並区として過去最大となる486億円もの残高を積み上げ、23区では2位となっています。その一方で、かけがえのない区民福祉が削減されてきました。本来であれば、積み立てた基金を区独自のコロナ対策に活用するとともに、コロナ過だからこそ住民福祉の向上に活用すべきでした。
こうした前区政のいびつな財政運営を転換し、住民福祉を最優先にすることが求められると考えますが、区長の認識はいかがでしょうか。
次に、異常な物価高騰の問題について何点か確認していきます。
東京都は、毎月区部の物価指数を発表していますが、生鮮野菜は10%を超える値上げが続き、電気、ガス代は20%を超える上昇が続いています。その結果、東京都の生計分析調査では、全世帯で消費支出、勤労世帯の消費支出、実収入とも、3月から5月の3か月間連続で大幅減となっています。深刻な事態の背景に、物価上昇とともに、長期にわたって賃金の抑制、年
金の削減、消費税の連続引上げ、さらに社会保障負担の増加があることを見て、必要な対策を取ることが求められていると思います。
物価高騰対策は主に国の責任ですが、その中でも区長が臨時交付金を活用し、区独自の給付金や、学校給食費の4月に遡った引下げ、プレミアム付商品券事業の実施、燃料高騰が直撃している公衆浴場への燃料費の助成などを打ち出したことは、区民を励ますものだと思います。
その上で、物価高騰対策として求めたいことは、区が徴収する各種公的負担の軽減、あるいは値上げ抑制のために全力を尽くすことです。国民健康保険料については、後で詳細に提案しますが、各種公的負担の軽減、値上げ抑制について、区長の基本姿勢を伺います。
プレミアム付商品券の発行については、区民にとっては買物への支援であり、事業者にとっては売上げ向上となる重要施策です。今まで以上に商店会連合会の意見を聞き、連携を強化し、消費者にも事業者にも喜ばれる取組となるよう求めるものです。区長の認識はいかがでしょうか。
プレミアム付商品券事業は、区内消費を喚起することで区内事業者への支援にもつながります。区内消費を活性化させるためにも、単年度にとどまらず、複数年度継続的に行うことが効果的と考えますが、区長の認識はいかがでしょうか。
プレミアム付商品券に関連して、商店会連合会が発行しているすぎなみギフトカードについても質問いたします。
区役所や町会・自治会等でのギフトカード利用が近年増加しており、発行高が増加傾向にあるそうです。大変喜ばしいことではありますが、500円のギフトカードを1枚発行するのに数十円の費用が発生し、連合会がそれを負担しているのが現状です。今後も継続して安定的にギフトカードを発行するためには、商品券事業に対して区からの支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
日本共産党は、コロナ対策としても、物価高騰対策としても、最も有効な手だては、消費税10%から5%への緊急減税と主張してきました。また、来年10月から導入が予定されているインボイス制度については中止を求めています。インボイス制度が導入されれば、区内事業者やフリーランス、個人タクシー、一人親方などの建設産業労働者など、個人で仕事を請け負う職種を中心に多くの免税事業者に影響が発生します。
とりわけ、杉並区のシルバー人材センターでは、会員の高齢者にインボイスの発行を求めることは困難なことから、年間取引額約8億円に対する消費税分の約8000万円をシルバー人材センターが納税しなくてはならなくなると見積もっています。センターでは、剰余金等があるわけではないので、結果的に利用料の値上げを依頼者にお願いすることになるとのことでした。ちなみに、年間取引8億円のうち区役所からの発注は約5億円とのことですので、インボイス制度によって、区の負担も約5000万円近くも増える計算になります。
このようなインボイス制度による影響について、シルバー人材センターも含めた区内の事業者に対しヒアリングを含めた調査を行い、実態を把握し、事業者や区民にも伝えていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
物価対策に関連して、国民健康保険料について質問いたします。
杉並区が物価高騰を抑制することは困難ですが、区が区民から徴収する国民健康保険料など公的料金を抑制することは可能であり、区の責任が問われることではないでしょうか。とりわけ国民健康保険は、年金生活の高齢者や零細事業者、さらに非正規労働者が加入しており、国も区長会も、年齢構成が高く医療費が高くなるが、加入者の所得水準が低く、保険料負担は重いと認めています。にもかかわらず、そうした被保険者に対し、異常な連続値上げが押しつけられてきました。最近の4年間でも保険料は家族4人なら6万6,000円の値上げ、年収500万円で夫婦、子供2人の4人世帯では、2010年の年額保険料が4人分で約33万円だったのに対し、本年度は年額約62万円へと、12年間で2倍近くの値上げとなり、年収に占める保険料負担は12%と家計への負担が大変重い状況となっています。
区長は、こうした国保料の経過と現状をどう認識していますか。また、物価高騰が家計を直撃する事態の下で、国保料の値上げを抑えることの必要性をどのように認識しているのか、見解を伺います。
国保料の値上げを抑えるために、杉並区の努力とともに、国と東京都の責任が問われるべきです。かつて、国庫支出金と都支出金は区の国保会計歳入の67%を占めていました。しかし、2017年度では25%に激減しました。さらに、国は、2018年度から保険料抑制のため3,400億円を投入したと強調しましたが、杉並区の決算で見ると、国、都の支出金は増えていないどころか、19億円も減額だったことが、我が党区議団の調査で確認されました。結局、国と都が保険料抑制の責任を全く果たしていないのです。その一方で、保険料抑制のための一般会計からの繰入れを廃止するよう国は自治体に求めています。
被保険者にだけ負担を強いるのでなく、国と東京都が財政責任を果たすことを迫るとともに、不当な一般会計からの繰入れ廃止の押しつけに対しては、毅然と対処すべきですが、いかがでしょうか。
さらに、今年度の国保料大幅値上げは、新型コロナ感染症によって昨年度の医療給付が急増し、東京都が杉並区に請求した納付金額が急増したことが原因です。現在の新型コロナ感染症の拡大状況を見れば、来年度も納付金のさらなる引上げが予測されます。
この新型コロナウイルスによる感染は、法的には指定感染症であり、非常事態とも言える性格です。特例的対応として国、東京都が財政支援を図るべきと考えますが、区長の認識はいかがでしょうか。
区長会も昨年末に、国、東京都に必要な財源措置を特例的に講じるよう求めましたが、取組時期が遅く、かつ総力を挙げた取組ではありませんでした。国、東京都に財源措置を求めるためには、この9月の段階から働きかけること、また、要望書を提出するだけでなく、各区が地元選出の都議会議員に対しても、都議が東京都に働きかけるよう要請するなど、総力を挙げた取組が求められると思いますが、いかがでしょうか。
もちろん、最終的には保険者である杉並区自身の努力が決定的です。国の一般会計からの繰入れ廃止の圧力に屈することなく、一般会計からの繰入れを継続し、国保料値上げ抑制のための最大限の努力が求められますが、区長の認識を伺います。
物価高騰対策に関連して、教育に係る保護者負担の軽減についても質問いたします。
前区政の下で引き上げられた学校給食費の値上げ分について、区長が4月まで遡って値下げを行うとしたことは重要ですが、給食費のみならず、教育に係る保護者負担の軽減が求められています。前区政下で廃止された中学校修学旅行費補助金の復活など、保護者負担の軽減を進めるべきですが、区長の認識はいかがでしょうか。
また、前区政下において引き下げられてきた就学援助の認定基準について、2012年の水準に戻し、より多くの世帯が受給できるよう対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
世田谷区で導入されている給食費のみの援助など、費目認定の実施とともに、入学準備金の引上げと、年度途中の申請でも入学準備金が受け取れるよう制度設計を改善するよう求めますが、いかがでしょうか。
続きまして、新型コロナウイルス感染症対策について何点か伺います。
杉並区でも、第7波は猛威を振るいました。6月下旬から感染者数は増加に転じ、7月に入ると週間感染者数は週を追うごとに倍増、7月最終週には週8,411人となり、過去最高を記録しました。国が特段の対策を取らない下で、岸本区長は、受診相談センターの回線増強や50代への抗原定性検査キットの配布、コロナ情報を掲載した「広報すぎなみ」の全戸配布、保健所の応援体制の強化などが進められたことは重要です。
改めて感染拡大第7波の状況をどのように受け止めているのか、また、感染拡大の防止と区民の健康を守るために何が必要と考えているのか、区長の認識を伺います。
我が党が求めてきた駅前でのPCR検査などが実施されていることは重要ですが、原則無症状の方向けで、濃厚接触者や症状のある方は発熱外来を通して検査を行うこととなります。しかし、医療機関の逼迫により、本来PCR検査が必要な方がすぐに受診、検査できない状況が発生していました。
8月9日に区ホームページに掲載された区長メッセージの内容は大変重要と考えますが、検査体制の拡充の必要性をどう認識しているのか、伺います。
また、第7波にとどまらず、今後発生すると考えられる第8波に向け、検査体制を強化していくことを求めますが、区長の認識を伺います。
医療機関の逼迫についても、区医師会との連携を強化して医療現場の実態把握を進めるとともに、医療機関が求める対策等をしっかり聞き取りすることが必要と考えます。いかがでしょうか。
第7波で陽性となった方からは、基礎疾患があっても保健所からの経過確認の連絡がほとんど来なかったとの話がありました。1990年代から全国的に保健所体制の削減が行われ、杉並区でも保健所の常勤職員が95年の246人から177人へと70名近く削減されてきました。今後、保健所体制の恒常的な強化が改めて必要と考えますが、いかがでしょうか。
この間、PCR検査等を行った医療機関に支払われる診療報酬が、昨年末から連続して大幅に引き下げられています。また、医療機関を支援するための診療報酬上の加算の縮小、廃止も続いており、今後も予定されています。逼迫する医療現場を支え医療体制を強化するためには、これ以上の引下げをやめ、診療報酬を引下げ前に戻し拡充することが不可欠ではないでしょうか。
国に対して、今後の診療報酬の引下げを中止することともに、引下げ前の状況に戻すとともに拡充することを求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、阿佐ヶ谷駅北東地区についてですが、区長が情報公開や合意形成に区民から疑問の声があることに目を向け、改めて環境への配慮や情報公開の視点で他事業者と協議すると発言したことは重要と考えます。前区政が進めたこの計画に対して、区民から批判、疑問の声があった主な問題は、貴重な屋敷林の樹木の大量伐採による景観と環境への影響、医療廃棄物埋設による土壌汚染の可能性のある河北病院敷地への小学校移転への懸念、さらに、小学校移転後の高層ビルへの商業施設等の誘致による地域商店街への影響などだと思います。残念ながら、樹木の大量伐採は既に強行されてしまいましたが、ゼロカーボン実現のためには、CO2吸収の効果を持つ樹木の育成、再生をこの地域でどうするのかが求められています。区長はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
病院敷地の土壌については、前区政は我が党への議会答弁も無視し、土壌調査の結果も明らかにせず、区画整理事業を開始した現在もいまだに明らかにしていません。我が党の開示請求で示された地図は黒塗りです。土壌汚染調査の現状、現時点で判明していること及び検討している対策案等をまず明らかにすることを求めます。
小学校の移転後の問題については今後の検討課題ですが、危惧されることは、北東地区の計画に関して、計画においても、区画整理事業の実施においても、特定の事業者の主導で進められてきたことです。さらに北東地区のこの先の新たな計画まで、事業者に計画策定を依頼しようとしていることは見過ごせません。こうした状況は、区長の言う区民に開かれた新しい都市計画の理念にも逆行するものではないでしょうか。住民参加の下で計画を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
まちづくりに関連して、高円寺地域の旧印刷局宿舎跡地の有効活用について確認いたします。
本年3月、高円寺南地域の印刷局宿舎が廃止されました。この地域は阿佐谷南・高円寺南防災まちづくり計画で防災力の向上を進める地域となっています。宿舎跡地を活用し、防災空地や防災公園など地域防災力の向上や区民福祉の向上に資する取組を進めることを提案いたしますが、いかがでしょうか。
次に、職員の働き方についてです。
杉並区の指揮を執るのは岸本区長ですが、実際に業務に当たるのは約3,500人の常勤職員と2,500人以上の会計年度任用職員や特別職の方々です。こうした職員の皆さんが心身ともに健康であることが健全な区政運営に欠かせません。その観点で我が党区議団は以前から、職員の皆さんの長時間労働による健康被害の問題を取り上げ、改善を求めてきました。
管理職を含めた区職員、教職員の長時間労働のさらなる改善を改めて求めるとともに、1日の業務が終わり、次の業務が始まるまでの休息時間を11時間以上確保するインターバル制度の導入を提案いたしますが、いかがでしょうか。
また、長時間労働を生まないために、新たに重点的に取り組む施策の所管部署が適正な人数となっているのかを精査し、十分な人員配置を行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
1人の管理職が2つの役職を兼務しているという実態があります。管理職の兼務も解消していくことが必要と考えますが、認識を伺います。
次に、会計年度任用職員の待遇についてです。
会計年度任用職員制度は、再度の任用の上限回数が5回に設定されているため、6回目の更新を希望すると改めて公募に申し込むこととなり、雇用の継続性が担保されません。また、介護や育児など様々な事情で会計年度任用職員を選択されている方もいると思いますが、常勤職員と比べ低賃金であり、退職手当や勤勉手当がなく、生活に不安を抱えていらっしゃる方も少なくないと思います。こうした常勤職員と会計年度任用職員の待遇格差の解消が求められていると思います。
所信表明では、「会計年度任用職員の待遇の改善にも、積極的に取り組んでいきます」とのことですが、どういう方向性で改善を考えているのか、区長の認識を伺います。
最後に、平和施策について確認いたします。
ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略から半年以上がたちました。ロシアの侵略は、紛争の平和解決を求めて武力行使の禁止をうたう国連憲章に違反する行為であり、病院や避難所、原発への無差別攻撃はジュネーブ条約など国際人道法に反する戦争犯罪です。とりわけ、ロシアが核大国であることを誇示し、いざとなれば核兵器の使用も辞さないと脅していることは人類全体への挑戦であり、言語道断です。プーチン大統領のような指導者が出てくる下で、核を持てば抑止力が働いて戦争を止められるという理屈は、いよいよ無力だということは明らかではないでしょうか。
核兵器による悲劇を二度と生まないためには、核兵器自体を廃絶するほかありません。核兵器の使用だけでなく、生産、譲渡、威嚇など核兵器に関わるあらゆる行為を禁止した核兵器禁止条約へ全ての国が参加することが求められています。しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は参加に後ろ向きです。
改めて原水爆禁止署名運動発祥の地、杉並の区長として、日本政府に対して核兵器禁止条約参加を強く求めるべきと考えますが、最後に区長の認識をお聞きします。
代表質問の終わりに、昨日の公明党の代表質問について少々触れさせていただきます。
昨日、杉並区議会公明党の島田敏光議員が、代表質問の場を使って、日本共産党を誹謗中傷する発言を行いました。意図的に事実をねじ曲げた虚偽の発言であり、区政のための建設的議論が求められる区議会の場で、特定政党への攻撃に終始したことは、杉並区議会の品位をおとしめるものです。
地方自治法は、第132条で品位の保持を定め「議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」と規定しています。また、杉並区議会会議規則は、第104条で秩序及び品位の尊重を定め「議員は、議会の秩序及び品位を重んじなければならない。」と規定しています。島田議員の発言は、こうした法及び規則に反する行為です。よって我が党は、島田議員に対し発言の撤回を強く求めるものです。
また、議長におかれましては、地方自治法第129条、議場の秩序維持の規定に基づき、発言の取消しを諮るよう要請いたします。
問題のある発言は多岐にわたりますが、最も悪質で卑劣な発言は、ハイエナ攻撃です。島田議員が石原元都知事の発言を利用して日本共産党に対し、人の成果を横取りするハイエナと攻撃しましたが、何の根拠もなく、かつ公党を動物に例えるという卑劣な手法で、公党を侮辱する暴言です。しかも、石原元都知事のハイエナ発言は、知事の自発的発言ではなく、都議会で公明党議員による共産党攻撃質問への答弁として引き出されたものです。この元都知事の発言は、各地の選挙で共産党はハイエナという謀略的ビラが配布されたように、作戦として行われたものです。こうした卑劣な攻撃が杉並区議会の場で行われたことは、議会の品位を汚すものです。
そもそも当時の公明党議員の発言は、日本共産党のチラシを取り上げ、どれもうそであるかのよう主張したものですが、しかし、予算特別委員会での杉並区選出の吉田都議の追及で、公明党の主張こそ事実に反することが浮き彫りにされ、石原元知事は反論できませんでした。
当時、公明党都議は、共産党は予算に反対したから、私学助成や乳幼児医療費など成果とは言えないと攻撃しましたが、しかし、公明党は野党時代、36回にわたって政府予算に反対しながら、児童手当制度、パート減税など成果と宣伝してきたのです。公明党に共産党を攻撃する資格はありません。
他にも共産党に関わる発言について多々ありますが、全て取り上げることができませんので、主な3点について言及させていただきます。
まず、日本国憲法9条の問題です。
日本共産党は、綱領で「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」と明記しているように、内外に憲法9条を守ることを明らかにしている政党です。島田議員は、憲法9条に反対した唯一の政党と発言していますが、制定当時は政府が9条について個別的自衛権もないと答弁したことから、憲法案に反対したものであります。その後、政府が集団的自衛権の行使は認められないが、個別的自衛権の行使は認められるとしたことから、9条を含め、憲法の全条項を守るという態度を明確にしたのです。こうした事実も踏まえず、日本共産党の立場を正反対に描き出そうとする島田議員こそ、歴史に対する認識が欠如しているのではないでしょうか。
次に、天皇の制度に対する発言です。
日本共産党は、綱領において、日本国憲法の前文と天皇の制度を明記した第1条から99条まで、憲法全条項を厳格に守る態度を公にしています。
「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視」するとともに、「天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と党綱領で明記しています。島田議員が言う天皇制を否定する立場との発言は、明確に事実と異なることを指摘いたします。
最後に、共産党が政治を動かしてきたことはないとの発言についてです。
我が党、山添拓参議院議員の政策チラシへの反論のようですが、2020年5月、当時の安倍首相が、検察の人事を官邸が関与できるようにしようと検察庁法の改悪を準備したときに、山添議員がその狙いをいち早く見抜いて国会で追及し、大きな世論を巻き起こしました。その世論によって、改悪案の成立を断念するところまで追い込みました。
また、男女の賃金格差の是正のために、山添議員が賃金の公表を求めたことがきっかけで、岸田首相は社員300人を超える企業に、男女の賃金格差公表を義務づけると発表いたしました。
杉並区でも、6月からマンション等のLED化助成が実施され、補正予算では学校給食費の値下げが提案されていますが、日本共産党区議団が先駆的に区議会で提案したことは、皆さんも御存じだと思います。
他にも誹謗中傷発言に対して申し上げたいことはありますが、代表質問の場ですので、ここまでにとどめておきます。
改めて島田議員におかれましては、品位のある発言を求めるとともに、自らの発言をいま一度振り返っていただき、謝罪とともに、不適切な部分については取り消しするよう求め、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(脇坂たつや議員)
理事者の答弁を求めます。区長。
〔区長(岸本聡子)登壇〕
◎区長(岸本聡子)
日本共産党杉並区議団を代表しての富田たく議員の御質問にお答えします。
初めに、区長選の結果についてのお尋ねですが、私のように、行政経験も議員経験もなく、杉並区の在住歴も長くない候補者を有権者が支持してくれた背景には、激動する時代の中で、気候変動問題やジェンダー平等、そして参加型の区政、さらには公共の再生に取り組むと約束した私のリーダーシップへの期待が少なからずあったと認識しています。
今回の選挙において、僅差で当選したこと、約30万人の人が投票に行かなかったことを重く受け止め、区民はもちろん、議員、職員の声や思いを意識的に聴き、対話と理解を深めていきたいと思っています。経歴としては異例の区長と言われていますが、私の弱みは同時に強みであると思っており、生活者の視点や国際的な視点を区政に生かしてまいります。
次に、区長専用車の運用方法の変更などにつきましてお答えいたします。
区長専用車につきましては、区長就任後に、今までの運用の実態を確認した上で不要と判断し、選挙時の公約に掲げたとおり、廃止といたしました。私の移動につきましては、登庁及び退庁時は原則として自己所有の自転車を使用しておりますが、公務中の出張につきましては、時間管理及び安全上の理由から、一般職員が利用している庁有車を同じように使用しております。庁有者の使用につきましては、従来の区長専用車の使用基準を杉並区長の庁有車の使用に関する基準に改め、この基準に基づき透明性を確保し、適正に運用してまいります。
次に、情報公開に関する一連の御質問にお答えします。
区政の情報は区民のものであり、積極的に共有していくものですので、区政の情報は原則公開することを徹底してまいります。また、区の情報公開にかかる期間については、請求の対象となる情報量が非常に多い場合や、第三者への意見照会を実施する場合などには一定の時間が必要となりますが、原則14日以内の可否決定についても改めて徹底を図ってまいります。
情報公開制度は、情報公開条例や、区の情報公開の運用指針である情報公開・個人情報保護制度事務手引に沿って運用しておりますが、この事務手引については、策定後25年を経過していることから、抜本的に見直すこととし、今年度中に同手引の改訂に着手いたします。また、手引の改訂に取り組む中で、条例の解釈や、この間の制度運用の妥当性などについても検証し、手引に反映させてまいります。手引の改訂後は、説明会などを実施することにより、職員全員への周知を図り、適切な運用がなされるよう、徹底してまいる考えです。このような取組を鋭意進めていくことで、日本一の情報公開を実現してまいります。
パブリックコメントについての御質問にお答えします。
区の重要な政策などを決定する前に、その内容について区民意見を募るパブリックコメントは、区民の声を直接お聞きし、区政運営に生かす仕組みとして重要な制度であると考えています。区では、パブリックコメント制度に特化した条例を平成22年に定めていますが、これはほかの自治体にはあまり例がありません。その意味では、しっかりとした制度の枠組みの下で制度が運用されてきたものと認識しています。
今回改めてパブコメ結果の公表資料を見直してみましたが、区民意見の全体像が把握しづらいのではないかと感じました。パブリックコメントは、政策への賛否の数をはかるための制度ではありませんが、意見を出された方からすれば、肯定的な意見と否定的な意見の割合など、区民の受け止め方が全体としてどうなっているのかを確認したいのではないかと思います。しかし、そういった情報は公開内容では分かりません。私は特に意見が分かれるような内容については、とりわけ丁寧にパブコメの結果をお返ししていく必要があるのではないかと感じているところです。今後は、様々な区民の意見に真摯に耳を傾けていくことを大切にしたいという私の思いを職員とともに共有しながら、より一層、区民目線に立った制度の運用に努めていきたいと考えています。
次に、予算編成過程の公開についての御質問にお答えします。
私は、区財政について、区民の皆様に御理解をいただくことは、区民参加の前提となるものであり、とても大切なことだと考えております。予算編成過程の公表については、予算案確定前に、各課の予算見積り状況を1回、ホームページ上にて公表しておりますが、今年度は、区民により分かりやすいものとなるよう内容の充実を図る予定です。一方で、予算編成作業は非常にタイトなスケジュールとなっており、そうした中で、正確な内容を公表しなければいけないという事情もございます。そのため、御指摘の公表の回数などについては、段階的に検討していきたいと考えています。
なお、ホームページ上に掲載している区財政の状況や仕組みについては、分かりやすい内容となるように見直しを行うこととしており、今後とも、区財政への区民の理解が深まるよう、より分かりやすい情報発信に努めてまいります。
次に、指定管理、民営化、民間委託の検証についてお答えいたします。
指定管理者制度につきましては、検証に向けた準備に着手したところであり、民間委託及び民営化につきましては、区はこれまで国保年金課など窓口業務を含め、様々な種類の業務を委託化し、また、民営化を進めてきていることから、区民生活への影響が大きい業務などを対象に検証していく必要があると考えております。検証に当たっては、どういった側面から行うことが効果的であるか、御指摘も踏まえ、検討してまいります。
次に、区立施設再編整備計画に関する御質問にお答えします。
まず、今後、実施する検証でございますが、施設の利用者をはじめとした幅広い区民や現場の職員の声を丁寧に聞いていくことが重要であると考えています。具体的な手法については、現在検討を進めているところですので、御指摘の点についても参考にさせていただきます。
次に、住民参画に関する御質問ですが、私は、計画の策定前の段階から、区民への情報提供を積極的に行い、意見や要望などを丁寧に聞きながら検討を進めていくことが不可欠であると考えております。これまでも区民アンケートや区民意見交換会、パブリックコメントや地域説明会など、様々な手法により幅広く意見を聞きながら、計画の策定に取り組んできたものと承知しておりますが、一方で、私は選挙期間中、地域で様々な声を聞く中で、必ずしも区民の声が区に十分に届いていないのではないかという思いを抱いたところです。このため、今後の検証や計画の策定に当たっては、こうした取組をさらに充実させていくべきと考えています。今後の検証に当たっては、私自身も積極的に対話に参加し、施設の利用者や地域関係者をはじめ多くの区民の方々の声を聞きながら、課題を共有し、既に計画化された具体的な取組も含めて、今後の進め方について検討していきたいと考えています。
次に、児童館に関する御質問にお答えします。
まず、児童館の地域住民と子供をつなぐ役割についてですが、小学校区を単位に各児童館で担ってきた地域子育てネットワーク事業は、子供を中心とした地域社会のつながりを強めるための取組として大変重要なものと認識しているところです。この間進めてきた児童館の再編整備の取組では、子ども・子育てプラザが複数の小学校区のネットワーク機能を担うこととしておりますが、今後、子供たちの居場所についての検討を進める中で、小学校区のネットワーク機能を継承するための適切な方策についても考えてまいります。
また、御指摘のように、児童の権利に関する条約は、子供に関する施策を組み立てる上での基礎とすべきものと考えておりますので、今後の子供たちの居場所についての検討に当たっては、児童の権利に関する条約の内容を踏まえるほか、当事者である子供の声を聞いてまいりたいと考えています。
次に、学童クラブの大規模化に関するお尋ねですが、近年の学童クラブ需要の増加は著しい伸びを示していることもあり、職員の適切な配置や必要な活動スペースを確保した上で、1クラブ当たりの受入れ枠を拡大してきたと承知しています。まずは、学童クラブ待機児童の解消に向けて、量的な確保を優先的に進めてきましたが、今年度200名近い登録児童を抱える学童クラブも存在するなど、需要増加に伴う学童クラブの大規模化は課題であると捉えておりますので、今後、学童クラブを利用する児童にとって大規模化の解消も含め、より良質な育成環境を確保する方策についても検討してまいります。
次に、ゆうゆう館に関する御質問にお答えします。
ゆうゆう館は、生涯現役の地域拠点として、高齢者の健康づくりやふれあい交流の場などの役割、機能を持つ施設としての重要性については、私も十分に認識しているところです。一方で、今後のさらなる高齢化の進展を見据え、地域共生社会の実現に向けて、地域の様々な世代を通じた人同士の交流、つながりをつくる場の確保の必要性のほか、ゆうゆう館の老朽化、夜間の利用率が低いことなどの課題があることから、区立施設再編整備計画において、多世代の交流を創出する新たなコミュニティー施設であるコミュニティふらっとへ段階的に再編整備を行ってきたことも理解しているところです。これまでもゆうゆう館のコミュニティふらっとへの機能継承の際には、利用者への周知をはじめ、丁寧な説明を行いながら進めてきたものと承知しております。一方、選挙期間中、ゆうゆう館に関する様々な御意見をいただいたことから、今後実施する区立施設再編整備計画の見直しを行うまでの間に、ゆうゆう館についても改めて利用者や現場の声を丁寧に聞きながら検証を行い、今後の検討に反映させてまいります。
次に、コミュニティふらっとの利用団体が所有する備品の取扱いについてお答えします。
コミュニティふらっとでは、団体が自ら所有する備品を利用する場合は、その都度持ち込んでいただいておりますが、これまでも保管スペースが確保でき、ほかの利用団体の活用が見込める場合には、その備品を区に寄贈いただいた上で、無料の貸出備品として供用する取扱いをしたケースがございます。今後につきましても、各団体の要望などに応じて、こうした柔軟な対応に努めてまいります。また、コミュニティふらっとに配備する備品の在り方につきましては、改めて利用者の声を聞きながら、ニーズに応じた充実を図るよう、運営事業者とともに検討していきたいと考えてございます。
次に、都市計画マスタープランに関する御質問にお答えします。
私は、杉並区ゼロカーボンシティ宣言を重く受け止めており、新たな都市計画マスタープランにおいては、脱炭素の視点を最重要事項の一つに位置づけるべきと考えております。そのようなことから、就任後初めて出席した都市計画審議会の場で、区のまちづくりの考え方にゼロカーボンシティーを目指すという大きな方向性を盛り込んでいきたいと申し上げ、それに対する委員の方々からの専門的な知見からの意見も踏まえながら、都市計画マスタープランの検討を進めているところです。また、建設分野のCO2排出量の削減については、現在様々な手法が開発されているほか、CO2排出量を下げることができる新技術が発表されていることなども認識しておりますので、ゼロカーボンという大きな目標に挑んでいく中で、検討を進めていきたいと考えています。
次に、道路整備に頼らない防災対策についての御質問にお答えします。
首都直下地震等大規模な地震災害への備えとして、建物の不燃化の促進や木造住宅密集地域の解消と並んで、都市計画道路の整備や無電柱化の推進など、災害に強い都市インフラの整備も重要であることと認識しています。しかし、都市計画道路の整備にはとても多くの時間がかかるため、道路の拡幅整備だけでなく、建物の耐震不燃化、地域の防災市民組織や消防団などの活動支援、感震ブレーカーや街頭消火器の設置による出火、延焼防止対策などのハード・ソフト両面の防災・減災対策を組み合わせて強化していく必要があると考えています。
次に、既存の町並みを維持した防災まちづくりについての質問にお答えします。
令和2年に公表された都の防災都市づくり推進計画では、建物の不燃化や延焼化防止の空間確保と併せて、魅力的なまちづくり、町並みの住宅市街地の再生という視点を持つことが重要であること、下町の風情を残す町並みの継承といった取組が盛り込まれております。区は、こうした視点を踏まえ、これまでも地域住民との対話を重ね、理解を深めながら、その地域の特性に応じた防災まちづくりに取り組んでおり、今後もそのような姿勢で取り組んでまいります。
次に、都市計画道路の事業用地として取得した土地についてですが、区といたしましても、長期間空き地としておくことは望ましいと考えておりません。幾つか活用策を御提示いただきましたが、あくまでも道路予定地であることから、ある程度まとまった箇所については、歩行者や自転車が通行しやすい暫定的な歩道として整備するなど、有効な活用方法を検討してまいります。
御指摘いただいた学校トイレの洋式化などの取組については、これまでの考え方や、現時点での到達点、課題などについて、各部署から個別にレクチャーを受けたところです。その中で、それぞれの担当部署において、施策全体の中での優先度や、ほかの取組とのバランスを図りながら、個々の取組が進められてきたことを理解しました。その一方で、私の考えとしては、区民生活に目を凝らし、苦境に立つ区民の立場に寄り添うことが行政の大きな役割だと思っていますので、これらの取組について、どのような対策が具体的に打ち出せるのか、区議会はもとより、区民の皆様からの様々な御意見にも耳を傾けながら、幅広い視点に立って検討していきたいと考えています。
次に、施設使用料についての御質問にお答えいたします。
区立施設の使用料は、令和元年度、施設を利用する方と利用しない方との負担の公平性の観点から、施設に係るフルコストを使用料算定の対象とするなどの見直しを行ってきたものと承知しています。また、登録団体の減額制度については、集会施設においては5人以上、体育施設においては10人以上で、そのうち3分の2以上が区内在住などであれば減額となっておりましたが、その登録団体の利用が全体の7割程度を占め、減額利用が一般化している状況などを踏まえて見直しを行ったものと承知しています。令和元年度の見直しの際、使用料については定期的に検証を行う取扱いにしたことと承知しておりますが、今年度がその検証に当たる年となっております。さきにも御答弁いたしましたが、区民が気軽にいつでも使えるという考え方に立って、できるだけ区民が利用しやすい金額とすることが望ましいと考えています。今回の検証の中では、周辺区との均衡なども考慮した上で検討を行ってまいりたいと存じます。
財政調整基金についての御質問にお答えします。
区はこの間、コロナ対策をはじめ喫緊の行政課題に対し、時期を逸することなく取り組んでまいりましたが、その財源としては、危機に備えて積み立ててきた財政調整基金を活用してまいりました。この財源があったからこそ、極めて迅速に、また的確に、区民生活や地域経済をしっかり支える取組が実行されてきたということを改めて理解したところでございます。財政調整基金については、令和3年度末残額が486億円となりましたが、年度間の財源調整のための機能に加え、大規模災害や経済事情の著しい変化などへの備えとして、着実に積立てを行ってきた結果でございます。今後につきましても、将来への備えとしての基金は、積めるときには積み立て、今般のコロナ禍など非常時における局面では、ためらうことなく、区民生活を支える取組などの財源として活用してまいりたいと考えております。
物価高騰対策についての質問にお答えします。
物価高による区民生活への影響を少しでも緩和することができるよう、区民の暮らしに寄り添い、必要な対策を取っていくことが大切であると考えています。地方創生臨時交付金を活用した物価高騰対策は、私が区長就任後に真っ先に手がけなければならなかった取組でしたが、区議会の各会派からいただいた要望の内容も十分に考慮し、職員ともよく相談した上で形にしてきた内容です。今後も地域や区民生活の現状に目を凝らし、また、区民からの声に耳を澄ませ、必要な対策を図ってまいります。
次に、プレミアム付商品券等事業と杉並区商店会連合会が発行しているすぎなみギフトカードに関する御質問がありました。
本定例会にて提案した補正予算に計上しているプレミアム付商品券等事業につきましては、8月上旬に実施した杉並区商店会連合会との意見交換の場に私も出席しており、その際にいただいた御意見を参考に、事業のスキームを組み立てたものです。今後の事業実施に当たりましても、引き続き同連合会と連携し、区内店舗と区民生活の支援を図ってまいります。
なお、今回の事業は、地方創生臨時交付金等を活用して実施するものですが、今後の商品券等事業の実施に関しては、今回の事業終了後に行う総括を踏まえるとともに、すぎなみギフトカードとの連携の可能性を同連合会と十分に意見交換した上で、その発行支援の在り方などを含めた総合的な視点から検討していくべきものと考えてございます。
次に、インボイス制度についてのお尋ねですが、同制度の開始に伴い、いわゆる電子インボイスの導入による業務の効率化などが期待できる一方、経理業務の負担増や、インボイスを発行しない事業者が取引相手である場合は、消費税の仕入れ税額控除を受けられないなどの課題があると承知しております。こうしたメリット、デメリットは、様々な媒体により明らかにされているため、現時点で御指摘のような調査を行う考えはありませんが、引き続き、税務署などの関係機関と連携して、区内事業者に向けたインボイス制度の概要や影響の周知に努めていく必要があると考えてございます。
次に、国民健康保険料などに係る一連の御質問にお答えします。
国民健康保険制度では、加入世帯の減少や被保険者の高齢化などにより、保険料で賄うべき1人当たりの医療費が増加しており、これに伴い、保険料負担が上昇していることは承知しております。このため、区では、激変緩和措置を講じるなど、この間の保険料の上昇を抑制するよう努めてまいりました。今後、先行きが見えないコロナ禍の現状を踏まえ、大幅な保険料の上昇が見込まれる際には、国保の安定的かつ持続可能な運営を踏まえつつも、その抑制を検討していかなければならないと考えております。
また、国保への財政支援につきましても、国、都にそれぞれ拡充を求めるとともに、とりわけ新型コロナウイルス感染症という特殊な状況における負担増について、国保財政の責任主体として都独自の財政措置を特例的に講じるよう、区長会要望などにより、引き続き働きかけていく必要があると考えております。
一般会計からの法定外繰入れについては、保険料の急激な上昇の抑制や、保険料の収入不足が生じる場合などに充当する財源であり、国保財政健全化の取組を踏まえつつ、適時適切に対応していくべきものと考えております。
次に、教育に係る保護者負担の軽減及び就学援助の拡充に関する御質問にお答えします。
私は、様々な状況に置かれている全ての児童生徒が均等な教育を受けられるようにするため、給食費や修学旅行補助金などの保護者負担金を所得に関係なく、公費負担にするということが望ましいものと考えています。しかしながら、恒常的にこれらの事業を継続するためには、限られた予算の中で見直すべきものを見直し、その中で必要な財源を確保した上で実施していかなければならないとも考えております。こうしたことから、教育だけでなく、区の事業全体の調整を図る中で、ほかの実施自治体の状況なども見ながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、就学援助の見直しについてですが、これについても、今般の物価高騰の状況などを踏まえ、適切な基準にしていくべきものと考えております。一方で、就学援助と裏腹な関係にあります義務教育の無償化との関係において、所得制限のない公費負担を拡充すれば、就学援助で支援している給食費や修学旅行費なども公費負担の対象となります。義務教育に係る保護者負担の一律な公費負担を進めることが適切か、経済的に困窮した方を重点的に支援するべきか、区としての考え方の整理が必要であると考えております。これらのことを踏まえ、保護者負担軽減策の在り方、進め方について研究、検討を進める中で、修学旅行補助金や就学援助の制度設計についても、併せて検討してまいりたいと存じます。
新型コロナウイルス感染症対策に関する一連の御質問についてお答えいたします。
最初に、第7波の状況などについてですが、杉並区内における第7波は、9月4日現在、93%がオミクロン株Ba.5系統で占められており、その感染のしやすさから、8月1日には1,569人の感染者が報告されるなど、これまでで最も大きい流行であると認識しております。また、オミクロン株は重症化率が低いことが報告されていますが、感染者数の多さから第7波だけでも高齢者を中心に30名を超える方が亡くなっており、予断を許さない状況であると受け止めております。感染拡大防止のためには、ワクチンを速やかに接種し、3密の回避、マスクの着用、換気など基本的な感染対策をしっかり行うことが必要であり、高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクの高い方々が速やかに検査、受診できる状況を区内医療関係者と共につくることが区民の健康を守るために必要であると考えております。
次に、検査体制についてですが、症状を呈している区民が速やかに検査を受けることができるように、検査体制を強化することは必要であると認識しております。このため、8月下旬から重症化リスクの低いと考えられる50代の有症状者に対し、抗原定性検査キットを無料で配布する事業を開始するなど、対策を講じてまいります。
また、区内で新型コロナウイルス感染症の検査を実施している医療機関は、6月末の153医療機関から、8月末に170医療機関へと17か所増加しています。今後も診療・検査医療機関の充実を図るなど、より強固な検査体制を区内医療機関と共につくってまいります。
次に、診療報酬の改定に関する御質問にお答えします。
PCR検査などに係る診療報酬の改定に当たっては、学識経験者、医療関係者、健康保険組合及び自治体の代表者などで構成された中央社会保険医療協議会において、適宜、実勢価格を踏まえた検証を行い、価格の乖離が認められる際には減額改定するなど、同協議会での議論を経て、必要に応じて改定されたものであると承知しております。この間、PCR検査に係る診療報酬の改定に当たり、国は激変緩和措置も講じておりますので、区といたしましては、国に対し、引下げ前の状況に戻すことなどを求める考えはございません。
次に、阿佐ヶ谷駅北東地区についてのお尋ねにお答えします。
まず、樹木の育成、再生についてのお尋ねですが、当該地区での樹木の育成、再生を含むゼロカーボンに向けた取組は大変重要なことと考えております。この間、担当職員から説明を受け、当該地区では伐採されてしまった樹木もありますが、緑地を設け、緑化の保全に取り組むとともに、沿道緑化や緑化率を設けることで新たな緑化を創出することや、地権者や病院が緑の保全について努力していることなどを理解してきました。今後、樹木の育成、再生を含むこの地区全体でのゼロカーボンの取組の実現に向けて、共同施行者である地権者、病院にしっかりと説明を行い、協力が得られるよう、対話を深めてまいります。
次に、土壌汚染に関するお尋ねにお答えいたします。
まず、土壌汚染の情報公開請求についてですが、対象となる情報のうち、薬品の保管場所などの病院のセキュリティーに関する情報などは、法人に関する情報であるため、病院の意向を確認の上、条例に基づき一部非公開にしたと説明を受けております。これまでも議会の中で、土壌汚染に関連する御質問をいただいていることは私も承知しております。病院敷地の土壌については、現在までに、関係法令に基づいて土地利用の履歴調査を行っており、その調査で汚染のおそれがあるとされたエリアについては、病院解体後、令和7年度に病院運営法人の責任において必要な調査を行い、仮に汚染があった場合には、土壌の除去など、必要な措置を実施することを区、地権者、病院運営法人の3者で締結した協定書に定めていると聞いております。したがいまして、現時点で具体的な土壌汚染対策をお示しすることはできませんが、今後、病院が実施する調査の結果や、仮に汚染があった場合には、その対応策を広く区民の方々にお伝えしていくことで、透明性を高め、本事業の理解につなげてまいりたいと考えております。
阿佐ヶ谷駅北東地区の計画に関してのお尋ねですが、この地区では、プロポーザルで選定したコンサルタント事業者の支援を受け、地域の関係者と連携するとともに、地域の方々からの意見を聞きながら、行政計画である阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画を策定し、その後、土地区画整理事業の認可、実施や、地区計画などの都市計画決定を行うなどの取組を進めてきたことと担当課から説明を受けました。これからは、エリアマネジメントを視野に、地域の価値向上に向け、地域が主体となったまちづくりの取組を進めることが重要だと考えております。そのため、今後、地域の方々がつくるまちづくり計画策定に向けて、区としては、地域の方々の取組を支援してまいります。
次に、阿佐谷南、高円寺南の防災まちづくりについての御質問にお答えします。
当該地区では、木造住宅密集地域の解消に向けて、国や都の補助金などを活用し、老朽建築物の除却や、不燃化の建て替え支援、オープンスペースの確保のための公園整備や道路拡幅など、防災・減災対策の強化を地域住民と連携しながら取り組んでおります。御指摘の印刷局の宿舎跡地については、昨年10月に地元のまちづくりを進める会の方から、宿舎住民の退去の情報をいただいたことなどから、宿舎跡地の情報収集に努めております。現在、印刷局からは、土地、建物を含めた在り方について検討していると伺っており、オープンスペースの確保により、本地区の不燃領域率のさらなる向上を図っていくため、印刷局と連携を図りながら、当該地への対応を検討しているところです。
次に、職員の長時間労働に関する御質問にお答えします。
保健所をはじめ、長時間労働が恒常的になっている職場においては、前区政から業務の見直しを行うとともに、職員の増員を図っており、今年4月から7月までの区全体の超過勤務の実績は、昨年の同期との比較で約11%減少し、1か月当たり100時間を超える職員数も約33%減少しています。今後も職員が快適に仕事ができる環境整備の一環として、長時間労働の解消についても全力で取り組んでまいります。御提案のあった勤務間インターバル制度につきましても、先行自治体の事例などを研究してまいりたいと存じます。
次に、今後重点的に取り組む施策の所管部署の職員配置についてのお尋ねですが、業務量に対する職員配置につきましては、必要な人員算定を行い、適切に行ってまいります。管理職の兼務につきましても、令和5年度から導入される任命権者による管理職の指名制の活用などにより、必要な解消を図ってまいりたいと考えております。
次に、会計年度任用職員の処遇改善についての御質問ですが、これまでも勤務条件の改善が適時行われてきたと承知しておりますが、今後、当事者である会計年度任用職員との対話などを通じて、状況を把握し、さらなる改善につながるような具体策を検討してまいります。
私から最後に、核兵器禁止条約についてのお尋ねですが、私としても、ウィーンで開催された本年6月の締約国会議に、日本がオブザーバー参加しなかったことは大変残念に思っております。今後も国内基礎自治体の約99.8%となる1,737自治体が加盟している平和市長会議を通じて、日本が一刻も早く締約国となるよう働きかけていく考えでございます。
○議長(脇坂たつや議員)
ただいま理事者の答弁に漏れがあったように見受けられました。追加で答弁があるようでしたら、指名をいたしますので、挙手をお願いいたします。区長。
〔区長(岸本聡子)登壇〕
◎区長(岸本聡子)
答弁が漏れました。申し訳ございません。
都市計画道路の在り方については、東京都と特別区及び26市2町で策定した東京における都市計画道路の整備方針において、10年前に都市計画道路の必要性を確認し、優先整備道路や見直し候補路線などの策定を行っていると説明を受けております。しかしながら、都市計画道路については、今回の区長選の争点であったことから、今後、多くの区民と課題を共有し、対話を通じて議論を深める中で、区の考え方をまとめてまいります。
次に、区医師会との連携についてですが、区においては、新型コロナウイルス感染症対策に係る各関係機関の役割、調整及び取決め事項などについて、多角的、多面的な視点を持って協議、連携を図る場として、区医師会や区内基幹病院などで構成される新型コロナウイルス感染症対策連絡会を設置し、現状や対策について定期的に意見交換しております。私も就任後、最初の連絡会に出席し、医療関係各機関の皆様としっかりと連携して対策を行っていくことをお伝えしたところです。今後もこの連絡会などで医療機関と区の実務者との間で意見交換を行い、現場の実態に即した対策を進めてまいります。
最後に、保健所体制についてですが、保健師の常勤職員数が、平成7年度には54人でしたが、令和2年度では66人と増加しております。今後も保健所体制を強化するために、保健師を中心とした専門職の増員を検討してまいります。
○議長(脇坂たつや議員)
33番富田たく議員。
〔33番(富田たく議員)登壇〕
◆33番(富田たく議員)
答弁ありがとうございました。何点か再質問させていただきますが、その前に、私の質問の発言の中で、都市計画審議会の日程について、7月16日というふうに、言い間違えておりましたが、本来は7月15日でしたので、この場で訂正をさせていただきます。
再質問ですが、総じて区民の声をしっかりと聴いて区政の今後の施策に反映させていく、そういう姿勢が見て取れました。大変重要だと思っております。
児童館、ゆうゆう館など各区の施設の在り方について、今後の検証や、計画策定でも区民意見を聴取して施設に反映させる取組を今まで以上に充実させるとの答弁だったと思います。これについても大変重要だと受け止めております。その上で、ぜひ検証に当たって、大学等の研究者、その分野での有識者の意見をしっかりとお聞きしていただきたいと思うんです。
2006年、平成18年のときに、杉並区は児童館のあり方検討会というものを行っておりました。これは施設再編整備計画が始まる前の段階での児童館、学童クラブの在り方についての検討をする場ですが、大変よい検討結果が出ておりますので、ぜひ岸本区長も参考に見ていただきたいと思うんですが、そのあり方検討会では、大学の研究者、有識者が2名入って、あとは当事者や区の職員が入って検討が行われておりました。このように、1名ではなく有識者2名以上を含めた検討が今後必要だと考えております。改めてその点について御意見を伺いたいと思います。
都市計画マスタープランです。漏れていた答弁の中で大変重要なお話がありました。お聞きできてよかったと思うんですけれども、都市計画マスタープランと都市計画道路について、区民と課題を共有して、対話と議論を通して区の方向性をまとめていくという答弁がありました。これはすごく重要な答弁だと受け止めるものです。また、都市計画道路で既に取得していた土地の扱いについても有効活用を検討していくということでした。これも大変重要な答弁だと思います。その有効活用の検討時についても、ぜひ地域住民や地域のまちづくりに関わる団体の方々の意見も取り入れていただきたい、取り入れていくべきと考えますが、区長の認識をお聞きします。
以上2点、再質問いたします。答弁のほうよろしくお願いいたします。
○議長(脇坂たつや議員)
理事者の答弁を求めます。区長。
〔区長(岸本聡子)登壇〕
◎区長(岸本聡子)
区立施設再編整備計画の検証に関する再度の御質問にお答えします。
今後、実施する検証につきましては、先ほども御答弁したとおり、幅広い視点から、区民や現場の声を丁寧に聞いていくことが重要であると考えています。現在、具体的な手法については検討を進めているところですので、有識者の意見を聞くべきという御指摘の点についても参考にさせていただきます。
都市計画道路に関する再度の御質問にお答えします。
先ほど御答弁しましたとおり、都市計画道路事業で取得した土地はあくまでも道路予定地なので、ある程度まとまった箇所については、暫定的な歩道として整備することを基本に考えております。しかし、今後、町の方々とのまちづくりの議論の中で、よい意見が出され、利用可能な場所があった場合には、その有効的な活用法について検討してまいります。
以上です。
○議長(脇坂たつや議員)
以上で日本共産党杉並区議団の代表質問を終わります。
~~~~~~議事録抜粋終了~~~~~~