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【議事録】富田たくの質疑 2014年3月6日 杉並区議会第1回定例会 予算特別委員会

議事録

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質疑内容 :  区職員、教職員の労働実態について
質問者 : 日本共産党杉並区議団 富田たく
2014年3月6日に行われた杉並区議会・予算特別委員会で僕が行った質疑の議事録をアップします。(議事録については時系列で管理を行うため、このエントリーの更新日は質問当日の日付にしております。更新日2016年11月15日)
※この議事録は富田たくの質疑を抜粋したものです。当日の全議事録はコチラから。
※動画での視聴はコチラから。
~議事録抜粋開始~

平成26年予算特別委員会-03月06日-05号

○吉田あい 委員長
それでは、富田たく委員、質問項目をお知らせください。
◆富田たく 委員
職員の労働実態について、防災について。資料は、No.072、108、110と、その他いろいろ持ってきております。
まずは、職員の労働実態について質問いたします。
日本人の働く環境は悪化の一途をたどっています。長時間過密労働による「過労死」という言葉は、日本語の発音のまま世界各国でも通じるほどですし、昨今では、労働環境が余りにもひど過ぎる会社がブラック企業と呼ばれ、社会問題として国会でも取り上げられ、多くの方々に認識されています。
僕も、今のこの議員の仕事をする前は、証券会社などの情報処理システムを担当するシステムエンジニアをやっておりました。ご存じの方も多いと思うのですが、SE、システムエンジニアの仕事は本当に忙しく、新しいシステムの構築、導入や、システムのトラブルなどの対応で常に残業をしていました。月の残業時間が100時間を超えることも珍しくありませんでした。SEの仕事にやりがいも感じておりましたし、残業代もしっかりと出してもらえる会社でしたので、生計を維持し、経験を積むためには、このような働き方が当たり前なんだと当時思っておりました。
ただし、健康面での不安はいつも感じておりました。過酷な勤務の中で、同年代の同僚たちが何人も心や体を壊し、長期の休暇をとる。新たな人員が配属になるまでは、残ったメンバーでその穴を補わなければならず、さらに過酷な勤務になる、こういった状況を肌身で実感してまいりました。
ということで、一定の時間を超えた労働については、基本的には労働基準法で禁止されていると思いますが、杉並区で働く区職員についても労働基準法は適用されるんですよね。
◎職員課長
労働時間に関しましては、労働基準法の適用を受けるということになります。
◆富田たく 委員
ちなみに、労働基準法や関連した法律では、長時間労働についてどのように定められているでしょうか、簡単で結構なのでお願いします。
◎職員課長
労働安全衛生法の中で、80時間あるいは100時間を超えた場合については、産業医の診断だとか、あるいは使用者のほうの適切な対応というようなことが規定をされているところがございます。
◆富田たく 委員
一般に、月何時間以上の残業をすると脳疾患や心臓の疾患の危険が高まるとされているでしょうか。また、過労死ラインとよく呼ばれているのは、何時間以上の勤務でしょうか。
◎職員課長
申しわけございません、病気の関係での時間はちょっと承知してございませんが、一般的には、80時間あるいは100時間という時間が過労死の危険性が高くなるという状況はあろうというふうに思っています。
◆富田たく 委員
大変重要な部分なので、この辺はしっかりと認識していただきたいんですけれども、厚生労働省によると、脳、心臓疾患の危険性が高まると言われているラインというのが、月45時間以上の残業です。さらに、いわゆる過労死ラインと一般的に言われているもの、二、三カ月の間に平均とか、あとは一月で100時間とか言われていますけれども、大体月80時間以上の残業が過労死ラインと言われております。僕も当時、SEの仕事をしていたときに常にこういった状況で、今の妻に当時、死んじゃうよと言われて、この過労死ラインというものを知って、それを超えた働き方をしているということにすごくショックを受けた記憶があります。
ということで、区職員の中で、脳、心臓疾患の危険が高まると言われている月45時間以上の残業、さらに過労死ラインを超えるような勤務をされている方、昨年1年間で一体どれぐらいいたのでしょうか。
◎職員課長
40あるいは45時間以上ということになりますと、延べでいきますと約500名ぐらいです。それから80時間を超えるという状況になりますと、これでいきますと大体50名ぐらいが対象になってまいります。
◆富田たく 委員
ちなみに、区職員の労働時間についての管理責任は杉並区が負っているという認識でよろしいんでしょうか。
◎職員課長
基本的には区が責任を負うということになります。
◆富田たく 委員
思った以上にこの危険なラインを超えている方、まあ延べなので、実数は何人かわからないんですけれども、いらっしゃるんだなと思って、改めてびっくりしております。
では、杉並区として、こういった長時間労働をさせないような努力って、どのようなことをやっているんでしょうか。
◎職員課長
1つは、毎週水曜日がノー残業デーということで職員の皆さんに周知を図るということ。あるいは、当然ですけれども、管理職の研修等を通じて、職員の健康管理というようなことに対する指導、あるいは健康診断等を含めてですけれども、そういった職員の超過勤務ということに対する見直しといいますか、改善というものを、健康診断等を通じながら啓発をしているというところがございます。
◆富田たく 委員
ここで、持ってきた資料を使わせていただきます。厚生労働省が発行したパンフレットを持ってまいりました。名称は「過重労働による健康障害を防ぐために」というものです。基本的には事業者向けのもので、健康障害の防止のために、時間外労働の時間、残業時間ですね、と休日労働の時間の削減と労働者の健康管理の徹底などを事業者に呼びかけているものです。中には事業者向けのチェック項目があり、その中の1つに、「労働時間を適正に把握していますか?」というものもあります。この辺の適正な把握というのは、先ほど残業時間のお話が出てきたので、行っていると思うんですけれども、杉並区ではどのように行っているでしょうか。
◎職員課長
杉並の場合は、ICカードを職員が全員持ってございまして、出退勤に関しましては、全てそのICカードにより対応するということになってございますので、それに基づいて管理監督者が適正に管理をしているというところでございます。
◆富田たく 委員
80時間を超える方が出ないような体制をきちんとつくっていっていただきたいと思っているんですが、ここですごく気になるところですが、区立小中学校で働く教職員についても、こういったICカードでの勤務時間の把握というのは行っているんでしょうか。
◎教育人事企画課長
学校におきましては、出勤簿あるいは出勤札で管理を行っております。
◆富田たく 委員
その出勤簿、出勤札というのは、きちんと、何時に来ました、何時に退校しましたというような時間が細かく記録されているんでしょうか。
◎教育人事企画課長
時間の管理、何時に入ったかというふうな記録はございません。
◆富田たく 委員
何時に帰ったかという記録は。
◎教育人事企画課長
何時に帰ったかという記録もございません。
◆富田たく 委員
そうすると、適正な労働時間の把握というのはしていないということになるんですか。
◎教育人事企画課長
教員の場合は、先ほどの一般行政職とは異なって、勤務態様の特殊性がございます。教育公務員特例法にも、絶えず研修、研究、修養に努めなければいけないということで特殊性がございますので、同じようなことで考えることは難しいかなと思います。
◆富田たく 委員
特殊性があるのは僕も少し認識しているつもりなんですけれども。ということは、教職員の方々は、過重労働しても健康障害が発生しないというふうに杉並区は認識しているんですか。
◎教育人事企画課長
先ほど申し上げましたけれども、勤務態様の特殊性がございますので、学校で研修をするか自宅で研修をするか、そういったものもまちまちでございます。総じて日々の健康管理は管理職が行っておりますので、それに基づいて教員の適正な健康な勤務に努めていきたいというふうに思います。
◆富田たく 委員
文部科学省が行った調査があります。教員勤務実態調査というもので、昭和41年度に調査が行われているのと、もう1つ、平成18年度の調査が行われているんですけれども、こういったものの調査結果をご存じでしょうか。
◎教育人事企画課長
存じております。
◆富田たく 委員
その結果からわかるものは。
◎教育人事企画課長
昭和から平成にかけて勤務の態様が非常に変わってきて、さまざまな業務があるということ、また退校する時間が遅くなっているということがわかります。
◆富田たく 委員
遅くなっていると。具体的には、1966年、昭和41年では教員の残業時間は月約8時間でしたが、2006年、平成18年では月約34時間まで増えているという内容でした。すごい増え方ですが、実はこの中に教員特有の持ち帰りの仕事というものが含まれておりません。持ち帰りの仕事というのは、テストの採点などを、学校だけでは終わらないので家に持ち帰ってやっている、そういったものですが、そういった持ち帰りの仕事を含めると、月の残業時間は、平均で66時間以上という調査結果が出ているんですね。これは脳疾患、心臓疾患のリスクが高まるライン、45時間以上を超えているんです。こういった実態はご存じでしょうか。
◎教育人事企画課長
先ほども申し上げましたけれども、教員は勤務態様の特殊性がありますので、残業という定義はございません。なので、そのような形で定義をするというのは難しいかなと思います。
◆富田たく 委員
おもしろいですね。労働基準法で、時間外労働ってどういう定義になっているでしょうか。
◎教育人事企画課長
先ほど申し上げましたけれども、残業という定義はございません。ですので、時間外勤務の手当、また休日勤務の手当というのはございません。
◆富田たく 委員
休日手当や残業手当等がないというのは僕も知っているんですけれども、だからといって、教員の働き方、過重労働によって健康障害が発生しないというものではないですよね。
◎教育人事企画課長
管理職の1つの重要な任務としては、教員の健康管理というものがございます。日々の健康管理に努めることによって、教員が元気よく勤務ができるように努めていきたいというふうに思います。
◆富田たく 委員
何か言葉だけ、努めていきたい、いきたいみたいな感じで、実が伴っていない気がするんですけれども。
もう1つ資料をお持ちしました。これは「勤務実態調査2012」、全日本教職員組合がまとめたものです。昨年10月1日から7日の期間について、全国36都道府県の6,879名分の勤務実態を集約したものです。これ、すごいんですよね。教職員は、年齢が若くなるほど時間外勤務の時間が長くなる傾向があり、35歳以下の年齢層については、持ち帰り仕事時間を含まない時間外勤務の平均時間だけで、過労死ライン、月80時間を超えているというような調査結果が出ているんですけれども、この辺はご存じでしょうか。
◎教育人事企画課長
存じておりません。
◆富田たく 委員
では、昨今叫ばれている教員の多忙化というのはご存じでしょうか。
◎教育人事企画課長
多忙化については、いろいろと課題を持っているということで、私たちのほうもいろいろな施策で展開をしております。
◆富田たく 委員
僕は、この多忙化というのをしっかりと区が把握しなければいけないと思っていて、それについては、先ほど、杉並区の職員はICカードで出退勤の時間をしっかりと把握していると。だから、先ほど、区の職員、これは教職員を抜いた方々なんですかね、過労死ラインが1年間で延べ50名以上いる、こういったものがあるから、その対応をしなきゃいけないと、数値をきちんと見てやっていくものだと思うんですね。こういうことって、何でやってないんですか。
◎教育人事企画課長
冒頭申し上げましたとおり、教員の勤務というのは特殊性がございます。ですので、それをはかるということはふさわしくない、なじまないというふうに思います。
◆富田たく 委員
特殊性があるから、勤務時間の適正な把握は間違いであるということですか。
◎教育人事企画課長
正規の勤務時間については適正に把握をしております。
◆富田たく 委員
正規の労働時間については適正に把握をしているというのは、どういうことですか。
◎教育人事企画課長
1日7時間45分の勤務についてでございます。
◆富田たく 委員
2006年、平成18年に1つ、文部科学省から通達がありました。「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」という名称で、4つの項目が挙げられています。その内容は、どなたか出てくる方はいらっしゃいますか。
◎教育人事企画課長
4つ、校務の効率化、管理職の職場環境の改善、教員の相談体制の整備、教育委員会からのメンタルヘルスの対応です。
◆富田たく 委員
その中に労働時間の適正な把握についてというのはないですかね。
◎教育人事企画課長
先ほども申し上げましたとおり、教員には勤務態様の特殊性がございますので、正規の勤務時間につきましては対応してまいります。その他につきましては、勤務の特殊性として、考えることがなじまないというふうな考えでございます。
◆富田たく 委員
杉並区として、なじまないと思っているんでしょうけれども、この文部科学省が出した通達は、「労働時間の適正な把握について」ということで、教員に対して始業時間、終業時間を適正に使用者が確認をするということが書いてあるんですけれども、その辺は読んでないんですか。
◎教育人事企画課長
読んでいます。この始業時刻、終業時刻というのは、正規の勤務時間についての始業、終業というふうに解釈をしております。
◆富田たく 委員
大分国の議論についていけてないところがあるのかなというところで、もう1つ資料を出しましょうか。「教員には労働基準法第37条が適用除外となっているだけであるにもかかわらず、労働基準法による労働時間に係る規制が全て適用除外とされており、管理職は教員の時間外勤務やその時間数を把握する必要はないという誤解が生じている」ということが、国の、これは学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議の「審議のまとめ」というところで書いてあるんですよね。
こういった通達の中で、厚生労働省の通達も持ち出して、「健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること。」という、厚生労働省の通達が平成13年4月6日付で出ているんです。その通達にのっとって、使用者が、区が、教職員の始業時間と終業時間、残業代も含めて、持ち帰り時間も含めて管理するようにということが、厚生労働省からも文部科学省からも言われているんですけれども、その通達が合わないというか、何でその通達と違うことをやろうとしているんですか。
◎教育人事企画課長
再三のお話になりますけれども、教員には勤務態様の特殊性がございますので、正規の勤務時間につきましては、確実に把握をしております。また、管理職は教員の日々の健康管理は確実に行っておりますので、また、私どももそれについては指導しておりますので、教員の適正な勤務については、今のところはしっかりと努めているというふうに思っています。
◎教育委員会事務局次長
教員の多忙化、多忙化というふうに殊さら取り上げて、学校で児童生徒に向き合う時間がないのではないかというようなことが言われておるのでございますが、我々は、教員の多忙化と言われているものについて、例えば今学校に、65校全てに司書を配置し、また介助員を配置し、さまざまな手当てを打っています。区費教員なども100名。そういった形で一定、教員たちの働く環境というのは整えてきております。
現に、平成元年、25年前ですが、教員はこのとき1,366人おりました。児童生徒は3万7,000。25年たった現在、子どもの数は2万4,000。1万3,000人減っております。教員の数は1,300人ぐらい。65名ぐらいしか減らしておりません。子どもの数が1万数千減っても、教員の数は66名ぐらいです。小学校に至っては、教員の数は現在931人、25年前は869人。つまり現在のほうが60人ほど多いのでございます。
そういう意味では、労働時間の確認、確認というふうにおっしゃっているようでございますが、我々はいつも学校に行きまして、各学校の管理職からのヒアリングであったり、学校の校内を見たり、また学校安全衛生委員会というものを開いております。この中には教員の組合の代表の方もお入りになっております。教員たちの実態も我々にお話をしていただいております。そういう意味では十分に働く環境を整え、なおかつ現状を我々としては知っているというふうに考えております。
◆富田たく 委員
もう一度言います。文部科学省の検討会の審議の中で、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を平成13年、厚生労働省が通達した。これは公立小学校にも適用されるものであり、この中で始業、終業時刻を確認し、記録することなどが示されているというふうに文部科学省も言っているんですね。
さらに、「『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準』の策定について」ということで、平成13年に厚生労働省が出した通達の中では、「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。」、それから「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。」
もう一度言いますが、「本基準の適用から除外する労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること。」いろいろと書かれていて、今の教職員の労働実態を時間、分刻みでしっかりと把握することというのが国からの通達です。何でこれ、国の言うことを聞かずに、やらないんですかね。
◎教育人事企画課長
教員は、学校内外で研修をしたり、教材の研究を絶えず行っております。教員の仕事は、一言で言えば無限にあると言っても過言ではないというふうに思っております。また、緊急の家庭訪問などもございます。そういった中で、勤務態様は特殊性があるんだということで教育公務員特例法にも示されております。それに基づいて調整額もついております。正規の勤務時間については、正確に把握をしております。その後の教員の研修については、健康管理を図りながら努めていきたいというふうに考えます。
◆富田たく 委員
もう一度言います。教員は労働基準法第37条が適用除外となっているだけであるにもかかわらず、労働基準法による労働時間に係る規制が全て適用除外とされており、管理職は教員の時間外勤務やその時間を把握する必要がないという誤解が生じています。今その誤解が杉並区でも生じております。こういった誤解、しっかりと解消していただいて、教職員の方々の健康管理、しっかりとできるように、労働時間の適正な把握を求めるものです。
以上です。
~議事録抜粋終了~