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杉並区が進める「小中一貫教育」の危険性について

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2月26日(土)に開催された「小中一貫校についてのシンポジウム」に参加してまいりました。

主催は『「小中一貫教育」を考える杉並準備会』。

新潟大学准教授・世取山洋介さんをメインゲストに向かえ、杉並区でも導入されている小中一貫教育の根本問題と、導入の背景にある財界・新自由主義の思惑、石原知事と都教育委員会の子供を無視した教育改悪について、有意義なお話を聞く事ができました。

また、品川区と杉並区の小中一貫校で働いている現職の先生お二人からは、一貫教育の現状と数多くの問題点について、生の声を聴くことができました。

 

以下、講演内容から。

・石原都政「東京構想2000」で都庁官僚が描く産業構造と教育改悪

石原都政のもとで都庁官僚が描き出した東京の産業構造は、一次産業(農林魚業など)も二次産業(製造業など)も衰退した東京で、三次産業がメインの産業と位置づけられていて、そのなかでも「東京構想2000」では以下の二つの構成に重点を置いているそうでうす。

 ①大企業の本社機能

 ②本社機能を取り巻く飲食、娯楽産業

この産業構成に見合う人材とは、大企業の本社に勤める『少数のエリート』と、飲食店などで雇用できる『大多数の安い労働力』の二種類。

都の教育委員会は、この構想見合った人材を輩出する教育システムを実現するため、早い段階から子供たちを序列化・ランク付けを行い、子供たちを選別する仕組みをつくるろうとしているそうです。

現に、東京都の教育委員会では、高校入学率97%に対して、「どうせ中退するから90%でよいのでは?」「大学に進学しない子もいるから高校入学率は70%でもよい」といった発言をしているそうです。

小3や小4からの学力テスト導入は、早い段階で子供たちに順位付けを行うことで、子供たちに綺麗に絶望感を与えられることが、その目的。幼い頃から競争を押し付けることは、弱者の心をくじく効率的なシステムである、と世取山氏は指摘していました。

 

・目的は 競争的 で 習熟度別学習 ができる『大規模な学校』をつくること

こういった競争教育を実現するために、大規模学校をつくり、その中で極めて競争的な習熟度別の学習システムを実現しようとしているのが現在の教育委員会の本当の目的。

東京都は全国的に見ても例外的に児童・生徒数が増加に転じています。そんななか2000年から2008年までの期間に、23区では130校以上、市部を加えると150校以上の小・中学校が廃校になっているそうです。

ただ、あからさまな学校統廃合は、地域の住民から反対運動が起きてしまう。それを回避するために、小中一貫教育という聞こえは良いが、どういう効果があるかよくわからないシステムが作り出されたそうです。

三鷹と品川はいわば天領地的な実験地として導入されてしまった状況とのこと。杉並も同じように実験台として進められているように思われます。

 

・小中一貫校の弊害

小中一貫教育を導入する際に地方自治体の教育委員会は様々な効能を並べましたが、そのどれもが本当に効果があると検証できていないものばかり。

先行して導入されてきた品川や三鷹では、逆に多くの問題が噴出している状況だそうです。

品川区で働いている現職の先生からは、以下のような状況のお話がありました。

 ・中学校で発生するようなトラブルが小学校にも降りてくる。
 ・小学5年生から教科担任制となり、子供たちが誰に頼ってよいのかわからなくなっている。
 ・授業で発生したクラスのトラブルも、次の担当の先生に丸投げになる。
 ・小学校から中間期末テスト体制が敷かれる。
 ・月1回の全校集会は、1年生から9年生までが集められ、校長先生からの話も世代が多すぎて的が絞れない。
 ・運動会では、大玉ころがしの整列で、1~9年生全員(1300人)が並ぶのに2時間かかった。
 ・運動会ではグラウンドに生徒全員が入るとスペースがなくなるため、父母は校舎の中から見学していた。
 ・小中一貫教育を行っても決して学力が向上しないが、実績をつくるために3泊4日の強化合宿を行っている。
 ・前倒し教育を行い、小学3年終了時に小学4年生の範囲まで詰め込み教育が行われる。国語は漢字の書き取りばかりになる。

などなど、ここにあげきれない問題点が多数噴出しており、品川の教育環境が危機的状況にあるとのことでした。

杉並区の和泉中の先生からも以下のようなお話が。
 ・一貫教育のカリキュラムが無く、現場で対応しなければいけない。
 ・当初、三菱総研に数千万円をはらってソーシャルスキルを教えることになっていたが、予算がなくなり2年目で頓挫。その時作った教育用ファイルも全く使い物にならず、今では誰も利用していない。
 ・小中で強化ごとの連携をさせられるが、中学側にメリットが全く無い。

現場のお二人からは、子供たちへの悪影響と先生の労力の増加という問題点しか見出せず、小中一貫教育を行うため、に学校統廃合を進めるメリットは全く無いといった状況でした。

 

・統廃合での子供たちへの悪影響

統廃合についての問題点では、世取山さんから以下のようなお話が。

小規模校を他の学校に統合することで、小規模校で作られてきた子供たちを取り巻く安定した人間関係がなくなってしまう。

子供たちにとって、この心の傷は取り返しがつかない。そのため、学校統廃合を行うと、必ずと言っていいほど学校が荒れてしまう。

小規模校に通う子達は、人からの愛され方を知っている。これは少人数学級の濃い人間関係で培ったものすごい能力である。

もし、統廃合をするのなら生徒から教員まで含めた人間関係をそのまま維持できる状態で、統廃合を実現しなければならない。

その覚悟がなければ、統廃合は進めるべきではない。

 

・高円寺での現状

高円寺では和泉地域に続いて、小中一貫校を作ろうという計画が進んでいます。

住民へ説明会では多くの反対意見が多数出ておりましたが、杉並区の教育委員会は「理解していただくまで説明する」といった、言葉は柔らかいですが計画を強固に進める姿勢を崩していない状況です。

ただ、世取山さんは小中一貫教育を伴った学校統廃合は問題点が多く、その問題をしっかりと指摘するれば、推進側は反論が出来ない。

そういう意味でも、小中一貫教育を建前にした統廃合計画は、反対運動に弱い体質を持っているとのお話もいただきました。

小中一貫教育の問題点について、教育委員会を言い負かすことが出来るぐらいの学習が必要であることを、改めて実感しました。

子供たちが笑顔で学び遊べる学校を維持するために、これからも頑張って行きたいと思います。

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