杉並区議会第３回定例会が９月10日から10月15日の日程で開かれ、10月１日の決算特別委員会で私・富田たくは質疑に立ち、２０１８年度の特別区民税収入の分析から、区内で貧困格差の二極化が進行している可能性が極めて高いことを告発し、76億円の黒字額や５００億円を超える積立金の一部を区民福祉向上のために使うべきと質しました。
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◆分離課税収入の増加
２０１８年度の杉並区の特別区民税収入は約６３２億円で前年より約18億円の増となりました。特別区民税は２０１２年度から増加傾向にあります。
その中でも、株式譲渡などで収入を得た区民が支払う特別区民税の分離課税分については増加傾向にあり、２０１８年度の分離課税を支払った区民は約７６００人、その納税額は約70億６千万円（区民税所得割額を含む）です。特別区民税収のなかで収入によって納税額が変化する所得割分と分離課税分の合計約６１０億円余りですが、分離分を含む納税額はその約11％をしめます。
５年前の２０１３年度では、分離課税を支払っていたのは約３７００人で納税額は約32億９千万円でしたので、５年間で人数、税額ともに倍増しています。
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◆高額納税者上位10名はさらに顕著
決算特別委員会の質疑では、株式売買などの収益にかかる分離課税の増加が、高額納税者上位10名の納税額を見るとさらに顕著であることを指摘しました。
２０１３年度の上位10名の納税額合計は約８億７百万円。そのうち約４億８千万円、６割が株式譲渡などで支払う分離課税分でした。
しかし、２０１８年度の上位10名の納税額合計は約19億３千万円で、分離課税分は約17億６千万円で納税額の９割以上と急激に増加しています。（グラフ①参照）
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◆納税義務者の所得構成は５年間ほとんど変化なし
２０１８年度に特別区民税を支払う義務がある区民の数（納税義務者数）は32万８千人あまりです。そのうち、実際の年収から様々な控除を差し引いた課税標準額が２００万円以下の階層は約18万人で約55％と全体の半数を占めています。２００万超から７００万以下の階層は約11万６千人で約35％。
いわゆる高額所得者となる７００万超の層は約３万３千人で約10％、全体の１割しかいません。
こうした傾向は２０１１年度から２０１８年度を比較しても、大きな変動はありません。（グラフ②参照）
厳しい生活を強いられている世帯の収入はほとんど変わらないなか、アベノミクスによる金融緩和、年金基金の株式市場投入による株価のつり上げ等により、株式売買などで多額の利益を上げている一部の層だけが、より利益を上げている実態が読み取れます。
