現在開催中の2014年杉並区議会第1回定例会の予算特別委員会で、杉並区が将来人口推計のグラフを2つ用意し、福祉削減の施策では急激に少子高齢化となるグラフと、その他の施策では高齢化が殆ど進まないグラフを使い分けていることが判明しました。
(予算特別委員会の様子は、杉並区議会HPから見れます ⇒ http://www.gikai.city.suginami.tokyo.jp/vod_iinkai/26-yosan/2014030406.asx)
◆予算特別委員会で区民を欺く人口推計の使い分けを追及
杉並区では現在、区民福祉施設の大幅削減を盛り込んだ「区立施設再編整備計画(案)」が区長から発表され、多くの区民から反対の声があがっています。
児童館施設の全廃、ゆうゆう館の削減転用、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署の交換、科学館の廃止、区民事務所会議室の全廃、駅前出張所の廃止など、区民が日常的に利用する区立施設を、利用者や現場の職員に相談もなく削減・廃止してしまおうというのが施設再編計画の内容です。
区長はこの施設削減を進めるにあたって区民に対して『今後30年間で少子高齢化が急激に進み、さらに区民人口も大幅に減少する』と説明し、『区税収入が激減して現在の福祉施設が維持できなくなる』と迫ります。
区税収入激減の数値的根拠になっているのが国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が2013年3月に発表した「日本の市区町村別将来推計人口」です。
この推計では今後30年間で
0~14歳までの年少人口の割合は 10% → 6.5% となり現在の 3分の2へ激減
15~64歳までの労働人口は 70% → 54% となり現在の 4分の3へ減少
65歳以上の高齢者人口は 20% → 40% となり現在の 約2倍に増加
という急激な人口減少社会、少子高齢化が杉並区を襲うと推計しています。
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◆削減の時だけ少子高齢化のグラフを使用?!
しかし、杉並区は杉並基本構想や総合計画の策定の段階で杉並区独自の将来人口推計を発表しており、主要な計画や構想で使用しています。その内容は20年後も杉並区の少子高齢化は殆ど進まないというもので年齢毎の人口割合は社人研の推計とまったく逆の内容です。(下図参照)
(クリックすると画像が拡大できます)
荻窪駅周辺の再開発や550億円の税金の溜め込みを進めようとする杉並区長にとっては、区民の運動で作られてきた地域に根差した区民福祉施設が邪魔でしょうがないのでしょう。そのため、杉並区自身が独自に作成した人口推計ではなく、少子高齢化が激しく進む社人研の人口推計を持ち出してきたのです。
少子高齢化が急激に進む人口推計を使用して区立施設削減を打ち出したのは昨年9月ですが、その後発表された杉並区の環境基本計画(昨年11月発表)や住宅マスタープラン(今年2月発表)などでは、少子高齢化が進まない杉並区独自の人口推計を使用しています。
さらに、区内全域で学校統廃合を今後進めていくことを明確にした「杉並区立小中学校新しい学校づくり推進基本方針」では少子高齢化が激しく進む社人研の人口推計を使用していました。
全く違う人口推計を二通り用意し恣意的に使いまわしている点を指摘し、区民を欺く姿勢を猛省するよう追求し、区税収入の大幅減少を理由とした区立施設再編整備計画に何の道理もないことを明らかにしました。
杉並区はこの追求に対しまともな答弁ができず『細かい割合の違いは問題ない、将来的には少子高齢化が進む』と開き直りました。
このような、区民を欺く区長の姿勢は許されるものではありません。今後も区立施設再編整備計画の撤回に向けて、みなさんと共同の取り組みを広げていきます。
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